すっかり普及した感のあるケータイのソーシャルゲーム。儲けのキモは、ゲーム内で利用するアイテムの販売なのだそうです。
「アイテムの単価が10円、30円でも、100万人が購入すれば1000万円、3000万円になります。さらに、アイテムの総数、ゲームのタイトル数をかけると、すぐに数億円、数十億円になるというわけ。
ですから、既存の顧客を逃がさない工夫と、新規顧客を取り込むアイデアが生命線となってくる。ゲーム内で行われるイベントやテレビなどでの宣伝も、その一環ですね」
そう話すのは、あるゲーム開発関係者。
下流の制作工程には10代も
また一方で、クオリティを落とさずに制作費をギリギリまで抑えることも、利益を確保するのに重要となってくるのだとか。
「通信キャリア3社の端末、それぞれできちんと動かないとダメなので、一般で考えられているほど開発は簡単ではないんですよ」
なので、たとえば中国など外国への発注が難しく、国内のエンジニアやクリエーターに依頼せざるを得ない。
諸外国に比べて人件費の高い日本で、コスト管理が大きな問題になってくるのは、どこの業界も同じなんですね。
「麻雀牌を利用したゲーム『上海』やトランプゲームなどの場合、全体の制作コストは数十万から100万円ぐらいですかね。複雑なものや新規に開発するものについては、もっとお金をかけることも当然あります」
麻雀牌やアイテムの画像だと、数千円程度で描いてもらうことも。画像作成やプログラミングの実作業は、必ずしも東京にいてもらう必要もないので、全国各所の事業者や個人にお願いするのが基本です。
「下流の工程を請け負っている人のなかには、10代もいるようですね」
部分を担当するエンジニアやクリエーターにとっては、決して旨味のある仕事ではないのですが、実働の時間がそんなにかからず、依頼の数自体がけっこうあるので、薄利多売は覚悟のうえで仕事を受けているようです。
まさに、デフレの申し子、不景気を実感させられる話。成長著しいビジネスの裏側には、ちょっと悲しい現実もありました。
井上トシユキ