佐賀市のFM放送局が、リスナーへのプレゼント用にビール会社から無料提供を受けた新商品の一部を、社員の宴会に使っていたと、朝日新聞が報じた。残りの商品は、1年あまり更衣室などに放置していたという。
「全部いんちき」「担当者のミスではない」
番組では、当選者へは発送をもって知らせる、と説明していたため、問題が明らかになるのに時間がかかったようだ。「担当者のミス」と報じられたが、同社に取材したところ「詳しい事実関係を調査中」とのこと。
ネット上には、テレビやラジオ、新聞、雑誌などのメディアが告げる「当選者の発表は発送をもって代えさせていただきます」という決まり文句に対し、疑いの声が多数上がっている。
「全部いんちきだと思ってる」
「誰かがチクッただけで、担当者のミスではないよ」
「おれが働いていた出版社でも同じこと普通にやってたわ」
メディアの中抜きだけでなく、「運送業者が猫ババしている」「広告代理店は楽勝だよね」「ネット通販業者はアドレス収集するだけで送ってない」といった“告発”もあった。
大手出版社の雑誌では名前やペンネームを必ず発表している、と擁護する人もいたが、「そんなもん簡単に捏造できる」と、頑なに信用しない人も。
最初から得意先に配る前提で景品を購入し、経費で処理しているという指摘もあった。「応募用紙をキャンペーンカウンターで一生懸命に記入している家族連れを見ると心が痛む」
一方、今回の件でプレゼント企画全体に疑いの目が向けられるのは残念、という声もある。
「俺、結構ラジオ番組でノベルティもらってるけど」
「かなりマイナーな雑誌でも、真面目にやっているところはやっている」
「個人情報保護」でチェック働かず?
このような不正がやりやすくなった背景には、個人情報の扱いに関する変化もあるようだ。
以前はスポンサーに対し、応募状況とともに、当選者の住所、氏名などを報告していたが、「個人情報の受領をスポンサーが嫌った」ため、ノーチェック状態に置かれている場合が増えているという。
とはいえ、報告を捏造したり、
「抽選で10名と告知しておいて、3人にしか送らない」
など、他にも手口はあるらしい。
ここまでくると、企業の懸賞は「発送をもって」か否かにかかわらず、正しく行われたかどうか確認する手立てがほとんどないことになる。
ただし、今回のケースは「ラジオ特有の問題」と指摘する人も。ここ数年、ラジオへの広告料は激減しており、「梱包や発送にかかる費用を節約せざるを得なかった」のではないかという見方だ。
さらには、実は応募者がいなかったために、商品を発送することができなかったと想像する人も。
「もしかして、応募がゼロだったんじゃない?」
憶測でしかないが、送り先がなく困ったラジオ局が在庫を更衣室に隠したのであれば、情状酌量の余地はあるかもしれない。その場合には、原因は番組の不人気なのか、新商品の魅力アピール不足なのか――。さらに深刻な問題となりそうだ。