60代の親世代の7割以上が「自分たちの財産は子どもに残さず、自分自身で使いたい」と考えていることが、東京スター銀行の調査で分かった。子ども世代も7割近くがこの考えに同意しているものの、将来の金銭面での不安を感じる人が9割を超え、複雑な心境をうかがわせる。
「借金先送りにしていい気なもんだ」
調査は60代の親世代500人と、30~40代の子世代500人を対象に実施。親世代に、現在の蓄財・資産を「誰のために使いたいか」と尋ねたところ、「自分のため」(21.0%)、「夫婦のため」(64.2%)と答えた人が85.2%に上った。
「子どものため」と答えた人は13.0%。親世代の多くは、自分たちの財産は自分たちで使い切ってしまいたいと考えているようだ。私有財産の考えからは当然のことではあるが、ネット上には若者たちからの強い反発の声も上がっている。
「自分の力で稼いできたと思ったら大間違い。高度成長の波に乗ってきただけ」
「子や孫の世代に借金先送りして、いい気なもんだな」
国の債務残高が900兆円を超え、財政健全化への道は一段と険しくなっている中で、次世代のことも少しは考えて欲しいということだろう。
「年寄りが溜め込んでるからカネ回りが悪いんだ」「どんどん使って死んでくれ」という過激なコメントも。親がリタイア後に海外旅行で散財中という子世代は、「せめて国内で使ってくれよ」と泣いている。
金融広報中央委員会の2009年の調査によると、一世帯あたりの平均金融資産保有額は、30代では458万円なのに対し、60代では1677万円。子世代の30年後に、そこまで資産が増えると信じられる人は多くないのではないか。