仕事中に「○○さんお電話です」と呼び出され、電話を切ってから「下らん用事でかけてくるな!」と頭に血が上ってしまう――。そんな経験をした人もいるのではないか。プログラマーの「はまちや2(@Hamachiya2)」さんは、ツイッターにこんな投稿をしている。
「なんで営業畑っぽい人って『思いついたら今すぐ電話』があんなに好きなんだろう。素直にメール打てばいいのに…」
「万死に値」「時間泥棒」「電話に出るな」
目の前の仕事と関係のない電話が入ってくると、はまちや2さんは「時間」と「集中」と「脳内短期キャッシュ」(仕事に必要な記憶)を奪われてしまうという。
そこで、仕事中に電話をするときには、「先にメールでアポを取るべき」だと発言。ツイッター上には、これに賛成する人たちの意見が上がった。
「集中時の割り込みは万死に値する!」
「不意打ちに電話し、準備不足の相手に無理難題を押し付けることを自分のパフォーマンスの最大の武器にしている人もいるが、あきらかに卑怯」
経済学者の野口悠紀雄氏も、著書『続「超」整理法・時間編』の中で「電話は時間泥棒」と断じ、職務上の連絡事項は口頭ではなくメールで、電話ではなくファクスで行うべきだと説く。
アズモードの宮脇睦氏は「企業ホームページ運営の心得」の中で、「Web担当者は電話に出るな。時間泥棒に注意せよ」とまで書いている。
一方で、メールを使った事前連絡は効率的でないと反論する人も少なくない。
「メール打ってる時間がもったいないの。返信待たなくて済むし」
「いちいち返信待ってる時間がもったいない。即断即決」
ただ、メールは非効率、面倒というだけでは、はまちや2さんが言う、相手の都合も考えずに「突然」時間を奪うことの問題に答えているとはいえない。気難しい作家を担当する大手出版社のKさんは、はまちや2さんの考え方に共感するという。
「相手への敬意とか配慮の問題ですよね。自分の都合だけで連絡したら、僕ら怒鳴りつけられて、仕事が吹っ飛んでしまいますよ」
あえて電話をかける「戦術」もある
Kさんによれば、電話をかけるポイントは、相手にとってのメリットを必ず考えてから連絡すること。「いま、この電話を受けてよかった」と思わせる内容がない場合には、他の連絡手段を考えることも必要だという。
「新しい仕事の依頼のときは、先にメールするか電話するか考えますね。依頼内容が複雑で相手が迷いそうな案件のときは、先にメールを送っておいて、後から電話で『例の件ですが、いかがでしょうか』と小声でお伺いをたてます」
一方で、相手が飛びつきそうな内容のときは、あえて電話を入れて「先生!○○の仕事、急ぎでお願いできますか?」と煽ることもあるそうだ。この場合は、直接口頭で話したほうが好感度はアップ。詳しいことは、追ってメールすればよい。
さすがに巧みな戦術だが、読みを間違えて相手の機嫌を害することも。もともと出版社には作家ごとのマニュアルがあり、連絡方法や、連絡を取ってもよい曜日と時間帯、取り次いでもらう家族の名前などが記載されているという。
「締め切り前にはカリカリしている作家も、締め切りが終わってしばらくすると、人が違ったように穏やかになりますから。我々も試行錯誤でやってきたわけです(笑)」