企業クチコミサイトのキャリコネは、自社データに基づく企業ランキングを発表した。それによると、「愛社されている企業」の1位は三菱商事、「愛社されていない企業」の1位はUSENだった。
「愛社されている企業」とは、キャリコネを運営するグローバルウェイの各務(かかむ)正人社長によると、「自社の社員から愛されている企業」のことを指すという。
高い「財閥系商社」社員の愛社精神
ランキングは、キャリコネに10件以上の登録データがある企業133社を抽出。データの内容から「年収への満足度」や「仕事のやりがい」「キャリアパスの公平さ」「労働環境」など7つの指標で満足度を採点し、5点満点で合計点を集計した。
満足度平均1位の三菱商事は4.4点を獲得、唯一の4点超えとなった。2位以下には、住友商事や旭硝子、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井物産などの大手企業が並ぶ。目に付くのは、財閥系商社の強さだ。
三菱商事で海外営業を担当する30歳の男性社員は、安定した処遇を高く評価する。
「年収は900万円。給料には満足している。一部実力主義があるけれど、だいたいは年功序列で(給料が)上がっている」
一方で、同社で経理を担当する25歳の男性社員は、「仕事はハードだが、労働市場での価値を高められる職場」と語り、早くも将来の転職を見据えている。
3位の旭硝子に勤務する27歳の研究開発の男性社員は、年収530万円で収入は商社よりも少ないものの、試行錯誤して技術的課題を解決する過程は、
「メーカーの技術職でしか味わえない、非常に面白くやりがいのある仕事だと思う」
と仕事に対する満足を述べている。
一方で「愛社されていない企業」1位のUSENの満足度は1.71点で、唯一の1点台。2位以下にはヤマダ電機、大塚家具、レオパレス21、日本システムウェアが続いた。会社が赤字で賞与が出なかったり、有給休暇が取りくにかったりする点が満足度を下げているようだ。
キャリコネは「愛社されているか」聞いてみた
キャリコネの無料登録会員は、10年8月には4万人を達成、蓄積した給与明細は約3万件、企業クチコミは約6万件に上る。具体的な企業名が出てくるだけにランキングの中身が信じるに足りるものか気になるが、各務社長は「信憑性には自信がある」と胸を張る。
「AERAやプレジデントなどの週刊誌と連携して、登録会員の対面取材をすることがありますが、登録内容と実際の給与明細に齟齬がなく、正しい情報を登録してもらっていることが確認できています」
新規の登録データはすべてチェックし、怪しいものは削除。削除するのは1割程度で、ほとんどのデータが正確な企業の実態を反映したものだという。登録者は20代の男性が7割というが、なぜそこまで手間をかけて正直に登録するのだろうか。
「他社の正確な情報を知りたいがために、自分でも正確な情報を入力しようという動機が働くのだと思います。また、求人情報に書かれている不正確な情報ではなく、正しい実態を社外の人に知ってほしいと考えているようです」
現状ではビジネスモデルが確立していないキャリコネだが、まずは企業と働く人のパワーバランスを変え、働きやすい環境が増えるきっかけになれば、という。運営会社のグローバルウェイの社員満足度について尋ねたところ、
「まだ調査を実施していませんが、今後公開したいと思っています」
と決まり悪そうに答えていた。