リーマンショック以降、転職市場の冷え込みが続いているが、ある転職エージェント会社によると、ここ1年で2倍以上に増えている求人がある。ビジネス英語ができる人材に対する「英語求人」だ。
いま頑張れば抜け出せる?
「英語求人」とは、ビジネス上で最低限の英語が話せ、英語で自分の意思を伝えられる「ビジネス初級レベル」以上が応募条件となる求人。転職支援会社のリクルートエージェントによると、2010年7月の英語求人の数は4079件と好調だという。
1年前(09年7月、1723件)と比べて2356件の増加、2.37倍の急成長だ。求人全体に占める割合も、16.0%から20.1%へと約4ポイント増加している。英語ができる人の求人がいかに急増しているかが分かる。
求人数のグラフを見ると、この増加傾向は、ユニクロや楽天が「英語の社内公用語化」を発表した10年6月以前から続いている。“楽天ショック”で英語求人数が増えたのではなく、人材獲得競争の中で「公用語化宣言」がなされたという解釈もできる。
調査を担当したリクルートエージェントのマーケティング企画部・弓削寛子さんも、「いまのような急激な成長は弱まるかもしれないが、転職市場における英語求人の増加傾向は、今後もしばらく続くだろう」と見ている。
同社が20~40代の正社員ホワイトカラー1156人を対象に実施したアンケートでも、業務における英語の必要性を「とても感じる」「やや感じる」と答えた人は、1年前の26.0%から30.7%に増加している。
一方で、「英語がまったくできない」と答えた人は54.0%と過半数。ビジネス英語初級以上の実力があると答えた人は、わずか9.1%にとどまった。また、82.8%がビジネス英語対策を「特に何もしていない」と答えている。
結局、やった方がよいと分かっていても、なかなかできないのが現実。いま一歩踏み出して英語力を身につければ、転職市場において頭ひとつ抜け出すことが案外簡単にできるかもしれない。