20代男性会社員のyukineko08さん。勤めている会社が、どうも怪しい商売に関与しているようだという噂を耳にしました。それがもし本当ならば、お客さまに多大な迷惑をかけることになりますし、公になれば会社は倒産してしまうかもしれません。
「犯罪会社の社員」のレッテル心配
犯罪行為の内容は「サギ」。平社員の立場として、会社の指示に従って働いていただけですが、自分の仕事がどこかで犯罪につながっているかもしれないと考えると、良心がとがめることでしょう。
もしマスコミにでも報じられれば、会社が億単位の損害を受けることは確実。会社がつぶれるのはしかたないとしても、自分が他の会社に転職するときに、
「ああ、あの会社で働いていたのか。君もサギの手伝いをしたのかい?」
なんて言われて、勤め先が見つからなくなることが心配でなりません。犯罪の証拠が見つかれば、いますぐにでも退職したいと考えています。
そこでQ&Aサイトの「教えて!goo」で相談を投げかけてみることにしました。会社の行為は、転職する時にやはり影響はあるのか。いっそ、発覚前に辞めてしまった方がいいのでしょうか。
犯罪に直接関わったわけでもない一社員が、会社の悪名に影響を受けるとすれば気の毒な話ですが、この相談への回答者はすべて「何らかの影響はあるのでは」と答えています。
「犯罪を起こした会社の社員というレッテルを貼られる可能性はあると思います」(taro999009さん)
「どうしても世間は、会社ぐるみ、組織ぐるみの犯行だったんじゃないか?と思うのが通常です」(poizon19さん)
しかし、企業の人事部で長年採用に携わってきたAさんに編集部が取材すると、意外な回答が返ってきました。
「この人の場合には、転職には一切影響ないでしょうね」
次が決まる前に飛び出すのは危険
Aさんによると、犯罪を主導している経営者や、それに積極的に加担する担当者のような「犯罪に手を染めた人」でなければ、他の中途採用者と同じように能力で判断されるだけとのこと。警察に事情を聞かれたくらいでは、採用には影響ないそうです。
実はAさん自身も、会社の犯罪行為を発覚前に知って退職したひとり。会社を辞めたことには後悔はありませんが、今となっては辞め時を見極めるのは簡単ではない、と感じています。
「自分の仕事から犯罪行為が見えたとき、会社に強く失望して働くことに嫌気が差しました。それで退職を決めたのですが、残った社員たちは発覚後に別企業の傘下に移り、それなりの処遇を受けましたよ。そのときは、早まったかなと思いましたね」
しかし「リーマンショック」で、会社は再々編の波に。一時は安定した仕事についていた元同僚たちも次々とリストラにあい、冷え込んだ転職市場に投げ出されてしまいました。
結局、退職時期は「転職市場が活性化しているかどうか」で判断した方がよさそうです。いまはあわてて会社を飛び出すのではなく、次の勤め先を慎重に決めてから退職すべきとAさんは助言します。
「もし会社の犯罪行為が発覚して会社が倒産した場合、解雇された社員は雇用保険の『特定受給資格者』として、失業手当を通常よりも長期間受け取ることができます。できるだけ会社の不正行為に関わらないようにして、じっくり転職先を探すことをお勧めします」