大手ホテルに勤務する20代のアルバイト男性が、自分のブログに勤務先の客を「バカ」と書き込んだことがバレて解雇されたと報じられた。職場の不満をブログやmixi、ツイッターなどに書き込む人は少なくないが、どこまでやったら危ないのだろうか。
VIP客「ただのオッサンじゃないか」
ネット上に残る書き込みによると、男性は自分のブログで、勤務先のホテルの客に対して「バカかって!」「ハイエナみたい」と中傷し、高額の宴席を主催した客を「VIPがなんだ! ただのオッサンじゃないか!」とけなしている。
また、出勤時間の変更を命じた上司に「死ねってか!」と反発し、酒を飲んで自転車で繁華街を暴走し自損事故でケガをしたことなども書き込んでいる。
男性はブログで実名を明かしていないが、さかのぼると過去に勤務先の名前を出した書き込みをしていたらしい。ホテル側によると、ブログの書き込みを読んだ人から匿名の通報メールがあり、社内を調査して従業員を特定したという。
本人も書き込みを認めたため、ブログを削除させたうえで、就業規則の懲戒解雇事由である「会社の名誉信用を損ない、業務に重大な悪影響を及ぼす行為」に該当するとして処分を行った。
ホテルは常日頃より、従業員には自転車、バイクを含めて飲酒運転をしないよう強く指導しており、違法行為を重くみたようだ。またブログの利用自体は自由だが、勤務先の名前を出し業務上知りえたことを書き込むことは禁止すると従業員を指導していた。
ホテル側は、今回の事件を信頼とブランドを傷つけるおそれのある大きな問題ととらえており、「再発防止に向けて指導を強化していきたい」としている。
ホテル従業員として資質問われる行為
ただ、もしもネット上に勤務先の悪口を書いたことがバレたとしても、第三者に勤務先や本人であることがバレなければ、「損害」は生じていないことになる。これを理由に、処分を免れることはできるのだろうか。
みらい総合法律事務所の辻角智之弁護士によると、第三者にホテルや本人が特定できない場合でも、会社は書き込んだ従業員を処分することはできるという。
「なぜなら、お客さんの悪口を述べることは、サービス業であるホテルの従業員として、その資質を問われる行為だからです。会社の信用を大きく害しうる行為であり、何らかの懲戒処分をすることができると思います」
ただし、会社に損害を与えるまでには至っていない場合は、懲戒解雇では処分として重すぎるのではないかとのこと。不当解雇で訴えられないように、戒告や譴責などの処分にとどめておく方がいいらしい。
一方、飲酒運転は違法行為であり、自転車であっても度々の注意にしたがわず繰り返すような場合には、事故の有無にかかわらず解雇を含む処分の対象になりうるという。
勤務先を慎重に隠しても、なにかの拍子に書き込みの「本人」が特定されてしまえば、芋づる式に書き込み内容が問題視されることがありうる。カッとなった勢いでブログやツイッターに会社のグチを書くことは、やめておいた方がよさそうだ。