日本能率協会グループは2010年8月6日、「新任役員の素顔に関する調査」の結果を発表した。新たに選任された取締役へのアンケートでは、「理想の会社」「理想の経営者」に米アップル社とスティーブ・ジョブズ同社CEOが上位に食い込んだ。
トップ3は昨年と変わらず
調査は、10年1月から6月までに選任された上場企業の新任取締役1500人あまりを対象に実施。有効回答数は252件、回答者の平均年齢は54.4歳だった。
回答者が「エクセレントカンパニー」(理想的な超優良企業)と考える会社は、1位がトヨタ自動車、2位が本田技研工業で、日本の自動車メーカーが並んだ。3位はゼネラル・エレクトリック(米)。この3社は昨年に引き続きトップスリーを占めた。
また、「理想の経営者」は、1位が故・松下幸之助氏、2位が稲盛和夫氏、3位が故・本田宗一郎氏となった。この3氏も昨年と同順位で並んでいる。
目新しいところでは、「理想の経営者」の4位に、昨年まで圏外だったアップル社のスティーブ・ジョブズCEOがランクインしたこと。アップル社は「エクセレントカンパニー」の分野でも、GEに次いで4位に入っている。
実際にジョブズ氏とかかわりのあった人からは、彼の性格は「暴虐」「強情」「独裁者」「我慢ならない」などと評されることが多く、自社の経営者として迎え入れることは相当勇気のいることだろう。
しかし、iPhoneやiPadなど革新的な商品と、魅力的なプレゼンテーションで会社を急成長させたカリスマの力を認めないわけにはいかない。
日本企業が直面する様々な経営課題に対して、従来と異なる大胆なアプローチを期待されることの多い新任取締役に、ジョブズ氏を理想とする経営者が増えたことは、頼もしいことといえるかもしれない。