産業能率大学が2010年4月に新卒採用された新入社員(18~26歳)400人を対象とした調査によると、自社の経営トップが外国人になったら、という問いに「抵抗感がある」「どちらかといえば抵抗感がある」と答えた人は57.1%となった。
外資によるM&A「日本の良さ失われる」3人に1人
一方、「上司が外国人」への抵抗は54.3%、「部下が外国人」では38.6%にとどまった。新入社員は、日本人社長に対するこだわりが意外と強いようだ。
「海外で働きたいか」という問いには、49.0%が「働きたいと思わない」と回答。その理由は「リスクが高いから」「自分の能力に自信がないから」「魅力を感じないから」という回答が上位を占めた。
もし海外赴任を命じられたら、「喜んで従う」が33.0%にとどまり、「命令ならば仕方なく従う」は40.0%。「何とか断れるように手を尽くす」(21.8%)や「退職覚悟で断固断る」(5.3%)という回答もあった。
海外赴任の条件として寄せられたコメントには、「給料をいまの1.5~2倍欲しい」「長期ではなく短期間」「帰国後のポジションを約束して欲しい」「赴任当初は現地の語学学習と並行して、専属の通訳をつけて欲しい」などの注文が寄せられている。
また、外資によるM&Aについてどう思うかについては、「国際化の流れの中で自然なこと」が44.0%。次いで「日本の良さが失われそうで不安を感じる」が33.8%と続いた。「日本企業の閉鎖性が打破されるよい機会」は11.0%にとどまった。
語学力より度胸と愛嬌
対象は新入社員ではないが、産経新聞の調査では「社内の英語公用語化」に賛成する人は26%にとどまっており、「日本で働きたいならば日本語を勉強すべき」(52歳・男性団体職員)、「英語が話せないと就職できない企業は日本にいらない」(37歳・男性会社員)という声も紹介されていた。
とはいえ、国内市場で拡大が望めない業種が多く、業績を確保しようと思えば海外市場に出て、グローバルな競争で勝ち抜かなければ国内の雇用も確保できなくなるのではないか。
海外勤務を経験して独立した50代のAさんは、内向きの若者に対して、日本が豊かな時代に育った世代だから仕方がないとしつつ、いまがチャンスなのにもったいないと嘆く。
「会社のお金で経験を積めるわけでしょう? こういうときこそ、一発逆転ねらって出て行けばいいんです。帰ってきたら高く売れますよ。言葉なんて、向こうに行ってから覚えればいい。必要なのは、学力より度胸と愛嬌」
また、「経営トップが外国人」に対して抵抗感が強いことについては、すぐに考えが変わるだろうと予想する。
「しばらく日本企業で仕事をしてみれば、一番の問題は、決断できない経営者にあるということが分かるでしょう。若者は既得権もないんだし、上司はともかく『経営者は外国人大歓迎』と考える若い人は、きっと増えると思います」