最近、社内の公用語を英語にする日本企業があらわれ、それとともに「上司が外国人になる日」が近づいていると言う人もいます。そこで、外国人上司が当然ながら多くなる外資系企業の実情について、参考までにご紹介しましょう。
「上司は絶対」変わらず。ドライなところを利用すべし
まず言っておきたいのは、外資系においても普通の日本企業と同様に、直属の上司があなたにとって決定的な存在であるということです。
直属の上司の人事評価は絶対であり、直属の上司に認められない人は、いくら頑張っても報われません。外資系に「異動」は通常ないので、上司がひどいときにはあなたが会社を辞める以外に逃れる方法がありません。
さて、「上司が外国人」になったらどうなるか、という点ですが、言語の問題を脇に置けば、通常の場合は外国人だろうと日本人だろうと、あなたが部下として十分に勤めを果たしていれば何の問題もないはずです。
むしろ、外国人が上司になったほうが、仕事の成果のみで判断される度合いが多くなるので、正当に評価してくれる可能性が高いはずです。この辺は外国人のドライなところをうまく利用すべきです。かえって浪花節的な日本人上司に当たったほうが、
「付き合いが悪い」
「言いたいことを言いすぎる」
といったロクでもない理由で評価が下がったりするおそれがあるのではないでしょうか。
ただし、外国人には日本的な以心伝心は通用しないことを理解しておかねばなりません。外国人は「空気を読む」ようなことはしませんから、自分のことを常日頃からアピールしておかないとだめです。
それも、さりげなく伝える、などというのでは足りません。堂々と、
「自分はこれだけのことをしました。だからボーナスを期待しています」
と示さなければだめです。それをしておかないと上司が気付かないだけでなく、手柄を他の同僚に持っていかれるおそれさえあります。
勝負どころは「成果の報告メール」
特に今はメールの時代なので、メールでどれだけ自分の存在意義を見せられるかが勝負となります。自分が現在どんな仕事をし、どういう計画を持っているか、といったことを常日頃からメールで上司に報告しておくことが重要です。
その上で、大きな成果が上がった時などは、社内の主だった人々にもれなくメールで報告することが一般的です。
「皆様のご助力のおかげで、この案件がまとまりました」
といった文面にするのです(真意は「私一人でやりました」ということですが)。
もしも自分はほんの少ししか貢献していないという場合でも、何とかcc.(写しの送り先)の一人に潜り込んで存在をアピールする、ということが大事です。こういう売名行為はちょっと、という人も多いでしょうが、外資系では「やり過ぎかな」と思えるくらいアピールしてちょうど良いものです。
以前の私の同僚に、外国人重役の奥さんに時折プレゼントをしていた男がいます。それはさすがにやりすぎだと私は思いますが、人からモノをもらって嬉しく思わない人はいないのもまた事実です。そして、これには国籍は関係ありません。
この男はその後、順調に出世していきました。彼の昇進にプレゼントがどれくらい貢献しているかは、定かではありませんが・・・。
私自身、今までに外国人の上司に仕えたことが数多くありますが、外国人だから難しい、という風に感じたことは特にありません。上司とて、そのまた上の上司から成果を出すことを求められているわけです。
ですから、最後は「結果を出すかどうか」がカギとなります。それとアピールを含めた「コミュニケーション力」。その2つがあれば、恐れることはありません。
益村誠一郎