最近、ある中小企業に勤め始めたtigoraさん。この会社の社長は、占いが大好き。信頼している占い師がいるらしく、何かと相談をしていますが、どうも占い師のアドバイスに振り回されているような気がしてなりません。
「災難が降りかかる」と不採用
たとえば、会社の人の採用。社長が作った適性検査の結果に、占いの結果を加えて合否を決めています。面接の印象がよく実力がありそうな人でも、占い師が「この人とは縁がない」「採用しても災難が降りかかるだけ」と発言すれば即不採用です。
tigoraさんが採用されたとき、社長から占いの結果を教えてもらいましたが、うまいこと言っているけど誰にも当てはまることで、「言われてみればそんな気もする」ような、あいまいな内容だったそうです。
しかし社長は、占い師の言うことをすっかり信じ込んでいて、入社してからも「占いの結果でこう出ていたのだから、こうじゃないとおかしい!」「占いの結果からして、お前はいまこう考えている!」などと叱ります。
社内を見てみると、手間をかけて採用しているはずなのに、なぜか人の出入りが激しい。質問者さんは、この会社でやっていける自信がなくなってしまいました。そこでQ&Aサイトの「教えて!goo」でみんなの意見を聞いてみることにします。
「正直気持ち悪いです。この程度のことは、どの会社でもあるものでしょうか?」
会社の社長は「決断」が仕事。どの会社でも、とは言えませんが、小さな事務所を経営するオーナー社長が、ネットの有料占いサイトといくつも契約していると聞いたことがあります。また、米国の大統領や日本の大企業の社長が、占い師の助言で大きな決断をしたという噂も耳にします。
占星術研究家もダメ出し「ルール違反だ」
しかし、この質問に寄せられたアドバイスは、「そんな会社はすぐに辞めましょう」「一日でも早く辞めることが正解」という厳しい内容がほとんどでした。回答者のdai-ymさんは、占いの使い方に問題があると指摘します。
「本当に大事な決断を占いに頼ってしまう社長は、絶対に失敗を続けることになります。なぜなら原因を他人のせいにしてしまい、根本的な対策をとらないからです」
占星術研究家の鏡リュウジさんも、転職サイトのリクナビNEXTで「占いマニアの社長にどう付き合う?」という質問に対し、「占いや宗教的なものによって組織が判断を下すのは、ルール違反」と厳しく断じています。
「占いを人事に持ち込んで、相性を判断するようなことは、よくないと思います。占いが示す相性というのは、人と人との関係性がどのようなものか、という傾向だけ。相性に善し悪しなんてありません」
不安に駆られる社長は、おそらく何らかの理由をつけて、自分の判断を認めて後押ししてくれたり、否定してくれたりする人を求めているのでしょう。
ただ、基本的に個性が強く、他人の意見を聞き入れない人も多いですから、占い師ではなく見識あるアドバイザーだったら受け入れられていたかというと、そうでもなかったのかもしれません。