「iPhone4とiPad、先に買うならどっちがいいですかね?」
仕事でご一緒している40代のタレントのA氏が訊ねてきました。
「カッコいい」バブル女史はiPod伝道者に
仕事の連絡やブログの更新などのために、モバイル機器は不可欠。
「1年ほど前に新しい機種へ変更したんだけど、最近、まわりでiPhoneやiPadを使ってる人が増えててさ。なんか、軽やかにタッチして操作してるのを見てたら欲しくなっちゃって」
最新型のケータイ、それに昨年買い換えたばかりのウインドウズOSのノートPCも、普段から持ち歩いているA氏。
「ブラインドタッチとかできなくて、ノートPCは左右の人差し指2本操作(笑)。それだけに、トントンやってるiPhoneやiPadユーザーがカッコよく見えるんだよね。所有欲を刺激されるというか」
実際、A氏のみならず、顔見知りの中高年の記者やタレントの間でのiPhone、iPadの人気は、想像以上のものがあります。
iPadを手に入れ、ああだこうだと操作しているうちに楽しくなってしまい、一晩中徹夜で触った挙げ句、翌日の番組に遅刻してしまった中年の女性タレントさえ身近にいました。
もちろん、彼女は超優秀なiPadエヴァンジェリストとなり、お宝をすでに手に入れた勝ち組の目線で、周囲にその良さを宣伝して回っています。
私も40代なのでわかる部分がありますが、80年代バブルの頃に大学生や若手社会人だっただけに、他人が持っているカッコいいモノに対して、単なる憧れでは済まない所有欲がかきたてられるのです。
そして、手に入れた後のカタルシス。
声がこもっても「カッコいい」から欲しくなる
ただね、とA氏。
「iPhoneって、繋がらないし、通話の途中で切れちゃうじゃない。この間もiPhoneを持ってる某有名文化人が、通話が繋がる場所を探して局内中をウロウロしてて。15分ぐらいウロウロしてまだかけられなくて、『ダメだな、放送局の電波が邪魔してるに違いない』とか、わけのわかんないこと言ってた(笑)」
スタッフも「移動中のあの人がiPhoneでかけてくる通話は、最低でも3回切れる」と嘆いているとか。
「声もこもってて聞き取りにくい、って言っててさ。モノとしての出来は良くはないのかもね」
それでも、“カッコいいから”A氏は絶対に欲しいのだとか。
モノとしての所有欲を刺激するマーケティングというのは、特に珍しいことでもありません。ただ、どの点が所有欲をかきたてるのか、それを見つけるのは簡単ではない。
ガラケーでは、いまのところカメラの性能に注目が集まっているようです。
私ですか? 私は、やっぱバッテリーの保ち(省電力)ですかね。
井上トシユキ