リサーチ会社のアイシェアが20代から40代の働く男女を対象に調査したところ、職場に「ノー残業デー」があると答えた人は全体の31.3%。ノー残業デーに定時退社が「必ずできる」「できることが多い」と答えた人は58.5%だった。
「横並びの規制強化」に頼るのは情けない
ノー残業デーが「とても必要」「どちらかというと必要」と答えた人は62.0%に上る。理由は「制度がないと連日残業だから」「定時に帰りにくいから」。長時間労働に疲弊している人からは、一定の効果を評価する声があるようだ。
一方、「まったく不要」「どちらかというと不要」と答えたのは、「もともと残業がほとんどない」という人が多い。
都内の中堅商社に勤める30代男性Aさんの部署でも、3年前から「ノー残業デー」が設けられた。きっかけは赤字転落。表向きは「ワークライフバランスの充実」だが、光熱費や時間外手当の削減がねらいだ。労働組合の役員が社内を巡回し、退社を促すという。
「本社の一部業務を除き、定時15分過ぎにはフロアの電気が強制的に消されます。労使で合意したことなので管理職も逆らえない。上司や同僚と駅まで歩き、誘われれば飲みに行ったりします」
調査では、定時退社した後の過ごし方(複数回答)は、「自宅でくつろぐ」が87.7%で圧倒的だが、男性では「飲みに行く」、女性では「買い物に行く」が2位につけている。せっかく残業が減っても、飲み会で夜更かしが増えたということにもなりかねない。
また、「ノー残業デー」を歓迎する声が6割を超えたという調査結果について、Aさんは「個人的には賛成できない」と言う。
「水曜日以外に早く上がろうとすると、“あれっ、きょう水曜だっけ?”と聞かれるんですよ。悪気はないんでしょうが、いかに残業が当たり前になっているかということ。ノー残業デーを廃止して、残業時間全体を短縮することに知恵を絞るべきです」
仕事を早く切り上げるためには、個々人の状況に応じて自由に帰宅できる「規制緩和」が必要なはず。それなのに、逆に横並びの規制強化に頼るのは情けない。「水曜日だけ例外扱いすることは、結局は『原則残業』を温存する効果しかないと思いますけどね」