NECは2010年7月より、グループ内の人事サービス業務のうち定型的な処理作業を、中国の子会社へ移管すると発表した。グローバル化の流れは、生産部門だけでなく管理部門にも及んできたようだ。
「中国人が個人情報漏らす」と不安の声
NECグループでは、人事サービス業務を国内子会社で集約処理してきたが、今後は給与計算や出張旅費清算を皮切りに中国の子会社に移管する。人件費やオフィス費用の抑制で運営コストは半分になる見込み。移管と同時に業務プロセスの見直しも行う。
日本経済新聞の報道によると、日本語の堪能な現地社員20人程度で業務を開始し、1~2年後には50人にまで増員。グループ内人事サービス業務の約4割、60社・10万人分をカバーする予定という。
かつて子会社でそれぞれ行っていた間接業務を、国内子会社で一元処理するにとどまらず、コストの低い海外に丸ごと移すということだ。このニュースを知ったネットユーザーからは、さまざまな不安の声が上がっている。
「コストさえ削れれば日本人の仕事が減っても構わないのか」
「専用回線・暗号化でも情報漏えいは防げない。中国人は危ない」
「日本人の給料高過ぎがバレて、現地でストライキが起こりそう」
「計算ならインドにしろよ・・・漢字読めないからダメか」
いよいよ外国人と能力勝負だ、というコメントもあったが、同じ能力でもコストが半分では勝負にならない。「労働者保護の規制強化しても、業務ごと流出しちゃったら元も子もないな」と嘆く人もいた。
社内サービス低下も赤字になるよりマシ
新興国への業務アウトソーシングは、NECが最初というわけではない。欧米のグローバル企業では、数年前から盛んに進められてきたことだ。
日本企業でも、NTTデータやソニー、花王などの大手が、国際競争力を高めるために海外への一部業務移管を進めていると報じられている。
J-CAST会社ウォッチへのコメントにも、大手企業で派遣社員として働く人から今年1月、「派遣先が人件費の安い海外に業務移管を決め、3月中の解雇が決まった」という投稿があった。
対象業務も、人事管理から売掛金・買掛金の照合、出納・未収管理、情報システム管理などへと広がっているようだ。
ただし社内業務とは言え、海外拠点とのコミュニケーションは、いままでのように「あうんの呼吸」とはいかないようだ。間接部門を海外に置く会社に勤めるAさんは「正直イライラすることもある」と明かす。
「海外の業務委託先から、出張費の照会を受けたんだけど、日本語はネイティブじゃないし、例外処理もすんなり受け付けてくれない。社内サービスは明らかに低下してますよ。でも、コスト削減しなきゃ会社全体が赤字になって、ボーナスもなくなっちゃう。しようがないなと諦めてます」