定年退職する男性が、会社の送別会で胴上げされて床に落ち、大けがを負ってその後死亡した事故で、同僚ら3人が過失致死罪で略式起訴された。報道によると、胴上げは旅館での宴会のあと、深く酔った状態で行われたという。
ノウハウも必要「飲んだ勢いでは非常に危険」
男性は空中に投げ上げられた後、畳の上に直接落下。首や背中の骨を損傷して寝たきりとなり、10か月後に敗血症で亡くなった。送別会には約40人が参加しており、胴上げには3人以上が加わっていたと見られるが、詳細は不明だという。
スポーツ界では優勝したプロ野球チームの監督やエースが、選手たちに高々と投げ上げられ、その様子がテレビでも放送されている。危険はあるのだろうが、何十人もの屈強なスポーツマンと、酔っ払った会社員では安心感がまるで違うのも事実だ。
都内に勤務する30代のAさんは、同期入社の社員が退職したり転職したりする際に、いまでも胴上げをしているという。もう15年にもなる。
「決まった店で軽く送別会をした後、店の前でバンザイと言いながら3回胴上げをします。毎年のようにやっていますが、いままでケガ人は出ていませんね」
胴上げをするのは10人程度の男性社員。酒を飲まない数人が胴上げされる人のベルトをがっちりとつかみ、他の人たちもシャツの端などを握って落とさないようにする。
また、空中に投げ上げるのではなく、勢いをつけて持ち上げる程度だという。下は舗装された道路なので、声を合わせるのにも細心の注意を払う。それなりのノウハウがあるようだ。
「長年一緒に働いてきた信頼感を試すようにして続けてきたのですが、胴上げをする人もされる人も、年を経るごとに緊張度が増していますね。40の大台に乗る前にやめた方がいいかもしれません」
Aさんのような「ベテラン」はともかく、普通のサラリーマンがお酒を飲んだノリでやるには、胴上げは危険すぎる行為だ。その場が盛り下がっても、遠慮して逃げ回った方が身のためかもしれない。