社名を「バスクリン」に変更する会社が話題になっている。バスクリンといえば「津村順天堂(現ツムラ)の主力商品」というイメージの強い入浴剤。ニュースを知った人たちからは、「あのツムラがなぜ?」と驚きの声が上がっている。
ツムラグループから名実ともに独立
ネット上では、主力商品を社名にするとインパクトがある、という話題で盛り上がった。
「任天堂が株式会社マリオに変更するようなもんか」
「明治製菓が株式会社たけのこの里に 」
「トヨタもカローラにすりゃいんじゃね」
「まるか食品はペヤング株式会社にしたほうがいい」
一方で、「ツムラのままでもいいのに」「漢方薬もバスクリンから出すの?」「『バスクリン葛根湯』って違和感あるなあ」といった戸惑いのコメントも見られる。
これに対し「漢方薬と入浴剤は別の会社だよ」と指摘する人がいた。調べてみると、確かにバスクリンを製造・販売する会社は、漢方薬を扱う会社と4年前に切り離されて別会社となっている。
1893年創業の津村順天堂は、1988年に社名をツムラに変更。2006年には入浴剤バスクリンを含む家庭用品部門をツムラ ライフサイエンスとして分社化した。
さらに08年には、ツムラが保有する新会社の全株式を、ファンドや新会社の経営陣などが取得。10年9月1日の名称変更には、ツムラグループから名実ともに独立したことを明らかにする効果もあるようだ。
しかしバスクリンは、日本初の入浴剤「くすり湯 浴剤 中将湯」に端を発し、1930年から売られている伝統ある商品。津村順天堂のイメージも根強い。ツムラ ライフサイエンスのマーケティング部広報の石川さんは、
「確かに社員の中にも、ツムラの名前がなくなることへの寂しさはありました。しかし社長が社員一人ひとりと対話をし、変更の必要性と今後のビジョンについて説明するなどコミュニケーションを取ることで、理解を得られています」
と明かしてくれた。
今年でバスクリン生誕80周年。グループを離れたとはいえ、同じルーツを持つ会社として、ツムラの伝統を継承した「健やかで心地よい生活を提供する」という経営理念には変わりがないということだ。