エクスペディア・ジャパンが2010年6月23日に発表した「有給休暇調査2010」によると、日本人の有給休暇の取得日数は、2年前よりもやや増加しているものの、欧米諸国に大きく水をあけられていることが分かった。
「日本は欧米より休暇が多い」説も
この調査は20歳以上59歳以下の有職者を対象に、日本および欧米を中心とした11カ国で同時に実施。
平均取得日数の1位は、フランスが34.7日でダントツ。2位以下はスペイン(28.6日)、デンマーク(26.9日)、イタリア(26.5日)が続いた。
一方、日本の平均取得日数は9.3日。調査対象12カ国の最下位で、唯一ひと桁。2年前の8.4日、昨年の7.9日よりも微増しているが、欧州諸国との差は大きい。
また、「日本人は外国人と比べて働きすぎか」という問いには、「強くそう思う」「そう思う」を合わせると3人に2人という結果が出ている。
この数字だけを見ると、日本人だけが休みなく働いているように見えるが、日本に次いで少ない米国は14日。取得率を少し上げれば、オーストリア(16.5日)やカナダ(17.5日)にも追いつけそうだ。
Q&Aサイトの「Yahoo!知恵袋」には、「ひょっとして日本の休暇日数が欧米に比べて少ない、って前提で話してますか?」という書き込みがある。回答者のanfield14_lfcさんによれば、日本の休暇日数は決して少なくないという。
というのも欧米の祝日は、日本のように企業や公的機関が一斉に休めるようにはなっていないらしい。日本の祝日は年間で17日(2009年)。これに平均取得日数を加えると26日となり、欧米の祝日休みを仮にゼロとすれば、イタリア並みの休暇が存在することになる。
「日本は、欧米の数十カ国の国の大半よりも休暇日数が多い。これが事実なんです」
日本の取得率が低いのは「取得スキルが低いから」?
また調査では、日本で有給休暇を消化できないのは「上司や同僚に迷惑がかかるから」という理由が3位に入っている。この点について、米国勤務の経験がある40代の日本人男性に聞くと「別に日本の職場独特の感覚ではないですよ」という。
「米国ではクリスマス休暇にみんなで一斉に休む人が多いです。忙しいのに、自分勝手な理由で休むことは歓迎されません」
休日には職場の同僚とホームパーティをするので、「正直言って、職場関係で拘束される時間は日本よりもずっと多い感覚」と苦笑する。
休暇に関して帰国して感じるのは、「仕事の計画性」と「コミュニケーション」の問題だという。
「あらかじめ仕事の計画を立て、支障がない範囲で『この日は休みます』と上司に申し出るのは、一種のビジネススキル。職場の雰囲気のせいにして、そういうコミュニケーションを面倒がっていたら、米国でも休みは取れませんよ」
ただ、フランスやドイツでは、部下の休暇取得率が低いと、上司の評価に影響が出る会社もあるらしい。そこまで親切な国になるのを待つよりも、まずは自分の「有給休暇取得スキル」を上げることの方が近道かもしれない。