ツイッター中毒の同僚が仕事をサボるので迷惑、という書き込みは、以前からネット上でよく目にするが、ついに解雇を宣告された人が出たようだ。「匿名でやっているから大丈夫」と思いこんでいる人も、油断しない方がよい。
他人事とは思えない書き込み続々
「友人の会社で、ツイッターで首になった社員が出てしまったなう」
2010年6月21日、ツイッター上に書き込まれた書き込みが話題になった。仕事中にツイッターばかりやっていて、仕事のスピードが遅れてしまったのが原因らしい。
これに対してツイッター上には、仕事中の書き込みと思われる人たちから、
「将来が不安になってきた」「明日はわが身」
「オレが上司ならオレのことすでに首にしてるはず」
など、他人事とは思えないというコメントが数多く寄せられている。
また、これに反応して、「ツイッター上での失言」が原因で
「来月で(仕事を)辞めることになりました」
と告白する人もあらわれた。会社にアクセス状況を監視され、書き込みを印刷した百枚以上の紙を前に詰問されたという。
「ツイッターで解雇は難しいはず」というコメントもあるが、書き込み内容に機密情報や会社批判を含んでいる場合や、利用が長時間に及ぶ場合には、就業規則に基づき解雇されるおそれは十分にある。
特に日頃の勤務態度が悪い人は、この程度は許されるだろうと甘く見ていると、「合わせ技1本」で処分を受けるリスクも高い。
日本でも「性悪説」監視進みそう
ネット利用が仕事に不可欠となっている中で、会社は従業員の不正利用をどの程度監視するつもりなのか。情報セキュリティサービス事業者インフォセックの樋口健・コンサルティング本部長は、
「日本でも、米国の影響を受けた『人の監視』を検討する会社が増えつつある」
と指摘する。
樋口氏によれば、各企業では現在でも、オフィスの入退室やITシステムのアクセスログ(記録)を保存し、特に怪しい人がいたり、問題が起きた後の調査や検証材料に使っているという。今回解雇された人も、会社からログを突きつけられたかもしれない。
米国では、さらに一歩進んで、内部犯行を予防し早期発見する目的で、システムの使われ方や従業員単位での利用状況を常時監視するチームを置いている。社員が自宅から更新する匿名のSNSやブログを突き止めて、監視の対象とする会社もあるそうだ。
今後の対応について、樋口氏は「性善説に基づく日本企業の情報システム管理は転換期を迎えるだろう」と予想する。
「景気の低迷に伴い、日本企業でも従業員との信頼関係が薄れ、内部犯行による情報漏洩などが急増している。企業の信用を失墜させる事件を起こす前に、米国型の性悪説に基づくしくみを取り入れる方向に進むことは間違いない」