選挙でバラまかれる「怪文書」には3つある

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   参議院選挙まで残すところ1カ月足らず。候補者たちの「仁義なき戦い」は、水面下で始まっている。昨年10月の補欠選挙で大勝したものの、前任者の残任期間を終えて再び選挙を迎えることになった「1年で2度参院選を戦う男」が、選挙の裏側を暴露している。

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2ちゃんねるに「愛人疑惑」も

土田ひろかず著『民主党選挙のヒミツ』
土田ひろかず著『民主党選挙のヒミツ』

――選挙戦で候補者を悩ますのが、候補者を失墜させるようなスキャンダルをまき散らす「怪文書」だろう。・・・なんでも知り合いの週刊誌記者から聞いたところでは、一般に選挙で出回る怪文書には3つのパターンがあるという。

   一つ目は、その候補者が過去に取り沙汰された新聞記事や週刊誌のコピーをバラまいて、解説をするという体裁。実はこんどの選挙に出馬するX候補には昔、こんなスキャンダルがあったんですよ、と古傷を暴くものだ。

   二つ目は、それらしい噂話を膨らませて書くという体裁。たとえば、愛人がいるとか、暴力団とつき合いがあるとか、役所と癒着しているとか、そのようなスキャンダルを文書やビラにして選挙区やマスコミにバラまくわけだ。

   ・・・そして、三つ目がインターネットでの誹謗中傷である。かつての選挙戦ではなかったことだが、「2ちゃんねる」などの掲示板に、候補者の悪口を書き込むのだ。

   もちろん、その候補者に人望がなければ有権者たちが普通に書き込むのだろうが、自民党某美人議員の秘書をしていた人が、ライバル候補者の悪口を「2ちゃんねる」に書き込みするよう命じられたと告発したケースからもわかるように、組織的にネットで誹謗中傷を行っている陣営もあるという。

   何を隠そう、実は私もこれをやられたことがある。無所属で出馬したとき、「2ちゃんねる」に愛人疑惑が書き込まれたのだ。

「先生、大変です!2ちゃんねるに愛人疑惑が・・・」

   興奮して私のもとに飛んでくる女性スタッフ。しかし、そんな攻撃もあるだろうと想定していた私は落ち着いて答える。

「愛人は何人いるって書いてある?」
「え? ひとりですけど・・・・・・」
「じゃあ、それはガセだよ。ひとりじゃないもん」

   むろん、ジョークである。だが、私程度の小物ですらこんな調子なので、大物議員の選挙戦ともなれば、どれほどの情報戦が水面下で繰り広げられているのか、ということだ――

(土田ひろかず著『民主党選挙のヒミツ』洋泉社新書y、86~88頁より)


(会社ウォッチ編集部のひとこと)

小沢幹事長との「公認面接」のシーンなど、民主党議員ならではのエピソードもあるが、多くは党の実情よりも「国政選挙ここだけの話」の比重が高い。読者の支持政党は問わないだろう。半年だけの議員活動では、先輩議員から国会でのヤジり方を伝授され、相手に心理的ダメージを与えるヤジを飛ばした人間の評価が上がることを知る。えげつない内容もあるが、「人生はユーモア」と言う筆者の威張らないキャラクターのおかげで、肩の力を抜いて楽しめる。

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