ネット調査会社のマクロミルの調査によると、今年の新社会人には「能力主義型」より「年功序列型」の賃金を望む人が多いことが分かった。「年功序列型」を望む人は、08年32%、09年37%、10年41%と、ここ数年で増加傾向にあるという。
先輩は「組織が消えたら意味ないな」
「年功序列型を望む新人」は、日本能率協会が4月に発表した意識調査でも50.4%を占め、4年前と比べて16ポイントも増加している。
しかしネット上には、若年層は年功序列を支持すべきでない、と憤りの声が上がった。
「若いやつの売上からピンハネして、中高年の給料に回す仕組みだぞ」
「なぜ自ら下っ端が割りを食うしくみを望むのか」
「体力ある新人こそ稼いだ分だけよこせと言えよ」
一方で「能力主義型」を嫌がるのは就職活動で苦労したためで、就職先を何よりも確保したいという不安の表れだから仕方がないとの見方もある。調査結果でも新社会人の3割近くは、いまの就職先は「第4希望以下」だったと答えている。
「成果主義とはアメリカみたいに、駄目な奴はクビにすることだから」
「給料アップよりも(雇用の)安心の獲得が大事ということだな」
「いずれは皆が年を取る。そういうことだ」
ただ、何もしなくても給料が上がり続ける純粋な年功序列は、すでに多くの会社で見直されている。厳しい国際競争にさらされる大企業でも、いつまで死守できるか。「会社自体がジリ貧じゃ、年功序列も何もないだろ」「組織が消えたら意味ないな」という指摘も現実味を増している。また、そもそも、
「みんな一律に社長になるわけないし、年功序列なんて昔から本当にあったのか、微妙な感じもする」
という声まで上がる始末。既得権を守りたい中高年ならまだしも、社会に出たばかりの若者が不安のあまり、そんな「幻の制度」に希望を見出しているのは気の毒な気がする。