アニメやマンガ、ゲームなど「クール・ジャパン」のソフトパワーは、日本の不況脱出の原動力のひとつになる――。そう考える人が6割を超えるという調査結果が発表された。政府も日本文化の海外輸出に意欲を見せているが、果たしてうまくいくものなのか。
世界に紹介したい1位「ドラクエ」「ドラゴンボール」
「クール・ジャパン」とは、国際的に支持されている日本文化や製品のこと。アニメやマンガ、ゲームなどのポップカルチャーのほか、自動車やファッション、伝統文化なども含む。要するに、海外の若者に人気の「カッコいい日本」ということだ。
東京工芸大学が携帯電話を使い、全国の15~49歳の男女500人を対象に調査を行ったところ、「クール・ジャパン」という言葉を知っている、または聞いたことがあると答えた人は29.0%にとどまった。
そこで「クール・ジャパン」の説明をしたうえで、これらのソフトパワーが「不況脱出の原動力のひとつになるか」とたずねたところ、「なると思う」「多少はなると思う」と答えた人は63.3%に上ったという。
「クール・ジャパン」として世界に紹介したい日本文化を聞いたところ、1位は56.9%で「アニメーション」。2位以下には「マンガ」「日本食」「日本らしい風景」「ゲーム」「伝統芸能」が続いた。
テレビアニメで「クール・ジャパン」だと思う作品・シリーズは、「ドラゴンボール」「ドラえもん」「機動戦士ガンダム」がトップに並び、「ONE PIECE」「ルパン三世」なども上位に。漫画家では「手塚治虫」。ゲームでは「ドラゴンクエスト」と「スーパーマリオブラザーズ」がトップとなった。
映画では「スタジオジブリ作品」がダントツ。世界に通用すると思う映画監督は、黒澤明監督、宮崎駿監督、北野武監督がトップ3に、俳優では、男性が渡辺謙、女性では小雪が1位だった。
「天下り先と予算が増えるだけ」
日本政府も「クール・ジャパン」の経済効果に注目する。最近でも、内閣官房が2009年3月に「ソフトパワー産業を成長の原動力に」と題した報告書を作成し、10年4月には経済産業省が「文化産業大国戦略」の原案を明らかにしている。
背景には、米国ではコンテンツ産業の売上の18%が他国への輸出であるのに対して、日本では2%にとどまっており、これを伸ばしたいという期待があるようだ。しかしネット上には、政府が後押しに関与することに対する冷ややかな見方が少なくない。
「役人が絡んだとたん『コールド・ジャパン』へ」
「儲かってるみたいだから、俺らにも一枚かませろってだけだろ。天下り先と予算枠が増えるだけ」
「自称アニメーターを合法移民させようという計画ですか。その前に国内アニメーターの下支えしろ」
アニメの表現に対する規制が進む現状を踏まえ、「持ち上げたいのか潰したいのか、はっきりしてくれ!」との声も。欧米への輸出には規制を厳しくする必要がある一方で、規制によってコンテンツの魅力を削いでしまうリスクもある。他国の文化流入に警戒する国もあるだろう。
数少ない成長分野として期待される一方で、文化を商品として扱うことは簡単ではないようだ。