眠りたいのに眠れない ケータイゲームの「カチカチ音」

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「春休みやゴールデンウィークは、出張族の僕らには辛い季節でもあるんですよ」

   仕事柄、出張が多い会社員のAさんがぼやきました。

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連休中の電車内は子どもたちの遊び場

   原因は、ケータイゲーム機なのだそうです。

「北関東や中部、関西地方への出張だと、電車利用が基本。長い休みの時期になると、家族連れの子どもや学生と一緒の電車に乗ることが増えるんですが、ケータイゲーム機がクセもので」

   さすがに、音を出してゲームを車内でする人は、ほとんどいないのですが、仕事を終えて疲れて帰る時には、隣でカチカチとボタンを操作する音でさえ気に障ることがあるとか。

「特急列車やローカル線にありがちな、狭い2人掛けの席だと、イラッとしたり、眠いのに眠れなかったりする。親子連れだけでなく、子どもが一人で乗っていることも結構あるんですが、だいたいケータイゲーム機で遊んでますからね」

   でも、音を消して気をつかっている部分もあるし、親子連れだと、放っておくよりゲームをさせておいたほうが暴れなくて楽、という気持ちもわかる、とAさん。

   実際、Aさんの家でも、実家など遠くへ電車で行く場合には、車内でゲームをさせているそうです。

「小学生と幼稚園の男の子なんですが、休みで家内の実家へ私以外の3人で行く時など、子どもが寝ている時以外はやはりケータイゲーム機で遊ばせておくらしいんですね」

   子どもが騒いだり愚図ったりした時、周囲に迷惑をかけているという引け目は、どんな親でも感じている、とAさん。

「騒がれるよりは確かにお互いにいい。これも譲り合いだと思って我慢するようにはしているんですけど」

   ずっと繰り返されてきたことではありますが、新しい技術や製品が与えてくれるのは、楽しみだけでないということですね。

井上トシユキ


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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。東海テレビ「ぴーかんテレビ」金曜日コメンテーター。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社新書)、「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文藝春秋)など。
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