仕事でミスや失敗したことがない人は、よほど優秀か、ほとんど何もしていない人のどちらかだ。だから失敗を責められても、気に病むことはないのだが、ペナルティとして「便器」を机の横に置かれたら、あなたは冷静でいられるだろうか?
「仕事が『糞』だったことを身に染みさせるため」
マイクロソフトでは仕事で失敗すると、机の横に便器を置かれるらしい――。そんな話題がネット上を駆け巡った。情報源はウェブサイト「ゲームビジネス」に掲載された1本の記事である。
それによると、マイクロソフトのプログラム計画総管理者ピート・アイゼンシー氏は、ゲーム開発者向けの講演会で「チームメンバーに責任を持たせるための工夫」として同社の手法を披露した。
その内容は、プログラマーやアニメーターなどの社員が、作成したビルド(実行ファイル)やアニメーションが動かないなどの失敗を犯したとき、ペナルティとして翌日の朝から「台車に乗せた便器が社員の机の横に置かれる」というものだった。
理由は「仕事の成果が『糞』だったことを身に染みさせるため」。その問題を直さない限り、便器は置かれたままだ。この工夫により「ミスを犯した社員の仕事への熱意は高くなる」そうだが、社員の側に立つと、かなり厳しいペナルティにも思える。
アイゼンシー氏も、この手法が受け入れられる社風を作ることは困難と認めつつ、プロデューサーは専門的な知識や作業より、社員の潜在能力を引き出したり人間関係で起こる摩擦をなくしたりすることが重要というコメントにつなげている。
この記事を読んだネットユーザーからは、予想通り拒否反応が起こった。
「なんつー嫌がらせだよ、陰険だな」
「失敗してへこんでるのに、ここまでされると死にたくなるな」
「日本の陰湿ないじめ体質よりいい」
ただ、便器を置かれるのは、テスト稼働中にバグが見つかったときの話。誰もが犯しうるミスだし、容易な仕事でないことは同僚の誰もが知っている。会社に損失を与えるほどの失敗ではないので、周囲も温かく見守っているのではないか。
「日本の陰湿ないじめ体質よりいい」というコメントにもうなずける。ひとつの失敗を繰り返し掘り返したり、それを理由にいつまでも冷遇したりする職場と比べると、さっぱりしたものだ。
「ミスった際は誰でも等しくやられるなら面白いと思う」
「逆にこれ以上責められないから、いいな」
「想像してみろ。真面目な顔して便器運んでくる姿を。笑うだろ」
ただ、こういうペナルティは、職場にも働く人たちにも余裕がある職場だからこそ可能だ。殺伐とした日本の会社でマネをすることはできるだろうか。
「クビに出来ない優秀な奴等が失敗したらって話だろ」
「給料が良いから耐えられるんだろうな」
とはいえ、会社に損失を与えるような失敗をした場合には、便器どころでは済まされないのが米国。その点、日本の会社は責任の所在があいまいで、
「ちょっとぐらいの失敗は水に流してやれよ・・・」
といった温情的な処分になるだろう。どちらの方が居心地がよいのかは、働く人の意識によるかもしれない。