わが子の可愛さを周囲に知らしめたいのが、親心というもの。特に、子どもが産まれたばかりの人は、うれしくてしょうがないはず。最近は、携帯電話の待ち受け画面を子どもの写真にしている人も多いようです。
答えはひとつ。正直な意見を言う必要はない
取引先との打ち合わせの前に、携帯電話を目の前にサッと出されて、「ほらほら、可愛いでしょ!」と見せられることがある人もいるのではないでしょうか。ところがその写真が、もしも正直可愛いと思えなかったとき、どうすればよいでしょうか?
それでも、こう言ってあげるのが間違いなくベストです。
「いやあ、本当に可愛いですね!」
会話の基本は、相手が言ったことに対して、きちんと応対することです。そのためには、いきなり相手の意見を否定することはせず、まずは同意して受け入れることです。もし、その後に自分の意見があるならば、「確かにそうですね。しかし私の意見では・・・」と「Yes,But・・・」の形で付け加えましょう。
とは言っても、他人の子どもに対しては、自分の正直な意見を述べる必要はありません。大切なことは、相手を心地よくさせることです。どんな言葉を期待しているのか想像し、それに応えてあげるのがマナー人であると同時に、デキる人でもあります。デキる人は、相手が言わなくても期待にしっかりと応えるから、
「またこの人と仕事がしたい!」
「またこの人から商品を買いたい!」
と思われるのです。(もちろん仕事の中身がしっかりしているのが前提ですが。)
さらに「目もとが○○さんに似ていますね」とか「口もとがそっくり」などと続ければ、相手もきっと喜ぶはず。気分よく本題の仕事の話に入れます。私的な話題においては、相手を心地よくさせてあげるのも上手な話し方、上手なコミュニケーションのひとつと心得ましょう。
相手の興味を見極められる会話上手
しかし、他人の子どもにあまり興味が持てないときなどは、逆に何か言葉を返さなければならないと、あれこれ考えてしまいがちです。最初に同意することを忘れて、
「あははは、○○さんもすっかり親バカですねえ!」
と返してしまうと、親しみを込めたつもりでも、いきなり言ってしまうと相手の気分を害すおそれもあります。
ここで気をつけたいのは、逆の立場に立ったとき。子どもだけでなく、ペットなどが話題になることもあるかと思います。こんなときは、「ほら、うちの子見てよ!」と自分から写真を見せるのではなく、「ワンちゃんの写真、お持ちなんですか?見せてください」と言われてから見せるのがスマートです。
相手がその話題に興味を示しているかどうかを見極めるのは、会話名人への第一歩。話の流れをコントロールする術を身につけたいものです。
とは言っても、私も今年の4月1日で5歳になる黒ラブ(ラブラドール・レトリバー)の愛犬「ファブ」のことが可愛くてしょうがありません。ファブと一緒に写った写真を自分の本に載せたりするくらいなので、気をつけなければならないのですが・・・。
相手との距離感を見計らい、仕事中に家族や愛犬の話題で互いにホッと一息ついたり、相手の嗜好を知ることで今後の関係がより良い方向になるようなコミュニケーションがとれれば、仕事もより愉しくなります。
西出博子