ケータイ買い替え そのタイミングと理由

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   「久しぶりにケータイ、買い替えましたよ」とSさん。

   マスコミ関係の営業でバリバリ働く30代です。

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結局は在庫から適当に選んでしまう

   これまで使っていたのは、3年ほど前に買ったものでした。

   仕事柄、片時も手放せず、落としたり置き忘れたりもしょちゅうで、外観はボロボロの傷だらけ。

   液晶画面のガラスにも、ヒビが入ってしまっていました。

「それに、電池の保ちが悪くなっていたし、電源が突然切れたり入らなかったり、実用に支障が出てきちゃったんですよね。でも、仕事と家庭の両方で忙しくて、買い替えのタイミングを逸してたんです」

   また、機種変更時の2年縛りが気になり、「もし、使い勝手が悪いとか、ダメなケータイだったら激しく後悔しそう」という心理障壁もあったそうです。

   衣服でも電子機器でも、売り場で気に入って買った後、実際に使ってから細かな点で不満が出てくることは、よくあります。

「ただ、よく考えれば、自分は通話とメール、最低限のウェブサイトの閲覧ができれば、それで十分。あとは、スーツやシャツのポケットに入れることがほとんどなので、できるだけコンパクトな大きさのもの。で、ショップに行って、要するに在庫のなかで小さくて安かったヤツを選びました(笑)」

   ボロボロのケータイをとうとう買い替えたと周囲で話題になったSさん。それをきっかけに、買い替えのタイミング話になりました。

「これが、結構いろいろありましたね」

買い替えに迷ってしまう理由は

   共通していたのは、電池がダメになってきたら買い替えるということでした。

「そこで陰謀論ですよ(笑)。2年しか電池が保たないように、最初から設計してある、って。その他の理由を突っ込んで聞くと、あとはバラバラ。デザインや機能面で欲しいと思えるものを“見つけたら”というヤツ。営業などで歩き回っている時に、不思議と“見つける”んだそうです」

   色が気に入ったら、自分で壊れたなと思ったら、飽きたら、たまったポイントをチェックしてそろそろと思ったら……。

   意外なほど多様で、いい加減な理由が出てきたとか。

   女性社員のなかには、「ミラー的な部品が使われているカワイイものが新製品であったら」という意見も。

「なぜかといえば、電車内や街中で化粧やお肌の具合をチェックするため(笑)。女子学生のように鏡を出すのは恥ずかしいので、ケータイの外装に映して確認するんだそうです。ただ、年に3回もモデルチェンジは不要なんじゃないのか、という点は最後に一致しましたね」

   どうせ2年間は替えない人がほとんどなんだし、じっくり時間をかけてマーケティングや技術開発をしてほしいそうです。

「似て非なる製品がたくさんあるよりも、思い切った選択の幅があるほうが、実は選びやすいと思うんですよね」

井上トシユキ


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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。東海テレビ「ぴーかんテレビ」金曜日コメンテーター。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社新書)、「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文藝春秋)など。
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