ジェイ・キャストは2010年2月17日、東京・千代田区の東京21cクラブ(新丸ビル内)において「J-CASTビジネスセミナー」を開催した。『新しい管理職のルール』(ダイヤモンド社)の刊行を記念し、共著者の高城幸司氏(セレブレイン代表)と仁木一彦氏(トーマツ)が講演を行った。
「大成した人には主流を外れた経験がある」
最初に高城氏が、管理職の役割の変遷について整理。新しい管理職は、「有能な人材を採用し、成果が出るように働かせ、適切に評価するしくみづくり」を担う必要があると指摘した。また、「チームプレイvs.個人プレイ」「短期的視点vs.中長期的視点」などの対照的な価値観からいずれかを選び、メンバーの働き方や評価の原則を明確化することの重要性を説いた。
次に仁木氏が、経営者と管理職のコンプライアンスの違いを説明。管理職には、経営者が示した価値観をルールに落とし込み浸透させる役割があると指摘した。また、問題を起こしやすい企業のパターンを理解して、管理職自身が問題に巻き込まれないよう会社を見極めるリスクマネジメントも必要とアドバイスした。
最後に、高城氏と仁木氏が対談。「管理職に必要なのは、会社を中長期的、客観的に見る力」「創業社長の暴走に、ブレーキをかけられる管理職がいる会社は大きくなる」という点について、双方の立場からコメントされた。
セミナーの参加者は30代、40代が中心。高城氏はコミック『課長島耕作』を例に挙げ、「社長として大成する人は、仕事盛りでいちど挫折し、主流から外れたところで部下に前向きな仕事をさせて成功モデルを作っている」と、管理職の仕事に不安を感じる人へ励ましの言葉を送った。
参加者からは「管理職としてのスタンスにブレがあった。組織が重視する価値観をあらためて明確化したい」「ベンチャー企業には優秀な管理職がおらず、人事部門も充実していない。市場の変化や人材の流動性も激しく、しくみづくりが難しいが、今日の話を仕事に活かしたい」などの感想が寄せられた。