50がらみのボスがハマった「ツイッター」

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   広告などのコピーライティングを請け負う事務所に務めるA子さん。事務所の代表者は「それ」と知られた人で、A子さんにとってみれば念願かなって移籍してきた「憧れの職場」です。

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取引先への対応をツイッターで「指示」

   ところが、最近になって困ったことがあるのだとか。

「ケータイから投稿できるようになって以来、アラフィフ(アラウンド・フィフティ。50歳前後)のボスがツイッターにハマっちゃって。酷い時なんて、一日まるごとケータイ片手にツイッターをやってるんですよ。一度なんて徹夜っぽかったこともあったから、下手すると24時間とかやってるかも」

   とりわけ、この年末年始はA子さんら「弟子」たちに、仕事を任せっきりの有様だといいます。

「最初は自分の腕やセンスをストレートに試したり、反映させたりできると張り切ったんです。でも、そのうち、『オレは年末年始で忙しいから、A子一人で打ち合わせ行ってきて。大丈夫、ちゃんと遠隔操作してやるから』なんて言い出すようになっちゃって。ホントに困ってるんですよね」

   ボスの言う遠隔操作とは、もちろん「ツイッター」。

   クレームや条件変更など、取引先からの要望をツイッターにその都度書き込めば、すぐにボスがフォローというかたちで指示を出す、というカラクリです。


   で、A子さん、実際にやったそうです。

新しいカタチのようで「ものすごくマヌケな感じ」

「お客さんの前で、『すみません、いますぐボスに相談します』などと言ってツイッターに書き込み、しばらくして『こうすればどうか、と言ってます』とか言うのって、ものすごくマヌケな感じなんですよ」

   このときは、取引先も面白がってくれたから良かったものの、味をしめてまたやらされてはたまらないと、A子さんは文句を言いました。

「私が間にいる意味って、ないじゃないですか。二度手間ですし。原稿も短いんだし、ご自分でお客さんとツイッター上でやりとりすればいいんじゃないですか、って」

   ボスは、「それ、ナイスアイデア!」と大喜び。ツイッター中毒にさらに拍車がかかりそうな勢いなのだそうです。

「私たちって、コミュニケーションを仕事にしてるわけじゃないですか。コミュニケーションって、やっぱり直接対面して、センスや情熱をぶつけるってことだと思うんです。ツイッターという仮想空間で仕事って、なんか違う気がするんですよね」

   A子さんは、自分でも余計なことを言ってしまった、と少し後悔しています。ツイッターで商談。新しいカタチなのか、避けられない歴史の流れなのか、ものぐさなのか。


   どうなんでしょうね?

井上トシユキ


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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。東海テレビ「ぴーかんテレビ」金曜日コメンテーター。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社新書)、「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文藝春秋)など。
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