不況下で、各社では「経費削減」が大きなテーマとなっている。調査によると、リーマン・ショック以来、コピーや接待、残業などの抑制が進められているが、それによって疲弊し、モチベーションを下げている社員もいるようだ。
若手社員は「残業代を削らないで欲しい」
オフィス商品を扱うオフィスバスターズとネット調査のアイシェアは、共同で「職場経費仕分けに関する意識調査」を実施し、2010年1月18日に公開した。回答者は20代から40代の男女ネットユーザー930人。
それによると、回答者のうち現在仕事をしている721人に「あなたの職場で最も削らない方がいいと思う経費」について聞いたところ、1位は「人件費」、2位は「残業代」だった。「人件費」という回答は年齢が上がるほど増えて、50代では51.7%を占めた。一方、「残業代」という回答は、年齢が下がるほど増えている。
また、「最も無駄が多いと思う経費は」という問いには、「役員報酬」「接待・交際費」が上位となった。「役員報酬」を無駄と思う回答者からは「報酬に見合った仕事をしていない」「役員が多すぎる」という声が上がったが、このご時勢で真面目に役員をやろうと思えば、相当苦労が大きいことは間違いない。
コスト削減は「働く意欲下げる」6割超える
また、NTTレゾナントは、中小企業(社員規模10~299人)に勤める社員524人を対象に実施した「コスト削減と働くモチベーション」に関する調査結果を公開した。
それによると、2008年9月のリーマン・ショック以来、会社でどのようなコスト削減策が行われたか聞いたところ(複数回答)、「コピー費の削減」と答えた人は58.8%に上った。次いで「残業禁止による残業代抑制」「交通費(出張、タクシー代等)の削減」「交際費(接待等)の削減」と続いた。
「コスト削減によって働くモチベーションは下がると思うか」という問いには、「大変思う」「思う」と答えた人を合わせると61.2%に上った。「退職(転職)を考える要因になるか」という問いにも「なる」と答えた人が37.8%いた。
コスト削減によってなくなったもの、減ったものとしては「余裕」が55.9%でトップに。ただし経営的な視点からみれば、「余裕などを持てる状況ではないだろう」とため息をつきたくなるのが正直な気持ちではないか。
『「残業ゼロ」の仕事力』の著者である吉越浩一郎氏は、BizPlusのコラムで、現在の不況は、
「本来自分の会社が強かったのかどうかを浮き彫りにする、“リトマス試験紙”のようなもの」
ととらえるべきという。元外資系会社の経営者である吉越氏からみれば、「余裕」よりも、普段から仕事の生産性や密度を濃くすることの方が重要なのは当然、ということなのだろう。