深刻な就職難を訴える声がある一方で、会社の中には仕事に追われて苦しんでいる人がいます。自分で多くの案件を抱えながら、後輩の育成を託されている中堅社員も多いことでしょう。Q&Aサイトの「教えて!goo」には、そんな人からの相談が掲載されています。
「なぜ人に教えなければならないのですか?」
教える側の「個人のメリット」を教えてほしい
会社で働いていると、後輩に仕事のやり方を教えたり、仕事に対する考え方について話をしたりする機会があるものです。しかし、質問者のgontama5さんは、あえてそのような場面を避けてきました。
その理由は、人に教えたり人の育成にかかわったりすると、忙しい中で自分の時間も手間も取られてしまうから。また、人に教えることに対する会社からの直接的な評価があるわけでもない。それに、なんだか偉そうな感じがするのも嫌でした。
しかし最近になって、何となくそういう考えは自分にとってよくない気がしています。仕事を通じた成長に足りないものがあると感じたのでしょうか。そこで「育てる側、教える側のメリット」にはどんなものがあるのか、他の人に尋ねてみることにしました。
「会社にとってではなく、あくまでも個人としてよいことをお聞きしたいです」
この相談に対しては「情けは人のためならず」という意見が寄せられました
「教えてくれた人には尊敬の念を抱かないでしょうか? 他の人に慕われているとか人徳があるというのは、それだけで素晴らしいことではないでしょうか。たとえそれが昇給とか昇格に直接結びつかなくても」(mimzyさん)
後輩との信頼関係が築けている状態は、精神的な満足感をもたらし、社会人としての自覚を高めます。しかし「偉そうな感じがするのが嫌」という質問者さんには、すぐには受け入れられない考え方かもしれません。
後輩から質問されると「向上心」が生まれる
「同じ仕事の繰り返しばかりでは飽きてしまいます。・・・少しずつ自分も新しい仕事をもらって、また他の人にも自分の仕事を渡して行く、というのが望ましい仕事のあり方だと思います」(yasudeyasuさん)
という回答もありました。ただし仕事のローテーションは、個人のマンネリ感を回避する意味よりも、不正防止や世代交代という会社側の視点が強いでしょう。
「人に教えることで自分でも再確認できるってことじゃないかなあ」(mappy0213さん)
LimeGreen5さんも、他人からの質問を受けることで、次のようなスキル向上につながると指摘しています。
・仕事上、自分が見えていない部分を再発見する。気づく
・答えられないとマズいので自身も向上心を持つ
・教え方がうまくなる。要点を整理する能力が高くなる
・より多くの案件を処理できるよう分配能力が高まり、組織の生産性が向上
とはいっても、会社員として勤務する以上は、仕事を通じて会社に貢献する必要があります。後輩の面倒を見ることは、LimeGreen5さんが言うように「そもそも(個人だけの)メリットを追求するようなお話ではない」といえるでしょう。
会社を存続させるには、社員は仕事を通じて成果を上げつつ、将来に備え組織の力を高めて、世代交代を図らなければなりません。「自分が給料をもらい続けたければ、後輩を育て上げて会社を発展・存続させろ」という理屈が一番シンプルなのではないかと思いますが、みなさんはどう考えますか?