ビジネスパーソンを対象としたアンケートによると、2010年には「朝早く起きる」習慣をつけたいという回答がトップになった。朝早く起きられれば、有効に使える時間が増えるし、仕事の生産性も上がりそうだ。夜更かし・朝寝坊の生活サイクルを変えるには、どうしたらよいだろうか。
朝日を浴びて「視覚刺激」を受けよう
NTTレゾナントが運営するgooランキングは2010年1月11日、「2010年に身につけたいビジネス習慣ランキング」を発表した。回答者は全国の「gooリサーチ」登録モニター男女1,166名。
それによると、1位は「朝早く起きる」。2位以下は「目的を常に考える」「机の上を整理整頓する」「新聞を読む」「気持ちを切り替えるために趣味を持つ」などが続いた。
1位の「早起き」は、ビジネス習慣というより社会人の生活習慣レベルともいえるが、寝ぼけ眼をこすりながら始業時間ぎりぎりに駆け込み出社する人が少なくないのだろう。頭がボーっとしたまま机に向かっても、仕事の効率は上がらない。
企業をクライアントとする臨床心理士の尾崎健一氏は、夜更かし・朝寝坊の生活サイクルは心身の調子に悪影響を与えるので、できるだけ「朝日とともに目覚める」生活を目指した方がよいという。
「人間は、神経伝達物質のセロトニンが分泌されると覚醒し、不足すると抑うつ気分が高まります。分泌を活性化させるには、光を浴びて『視覚刺激』を受けることが有効といわれており、目覚ましが鳴っても眠いときには、頑張ってカーテンを開いて朝の太陽を取り込むと覚醒しやすくなります」
また、視覚刺激は、睡眠を促すメラトニンというホルモンの分泌を抑える。朝日を浴びることで眠気が止まるわけだ。逆に、寝る直前まで明るい場所で視覚刺激を受けていると、メラトニンの分泌が不足して眠気が起こらず、自然と夜更かしになってしまう。
そのまま睡眠不足を繰り返して脳に疲労が溜まると、仕事の生産性を下げ、ストレス耐性も低くなってメンタル不全になりやすい。早起きをして朝日を十分浴びれば、ビジネス面でもよい効果が表れそうだ。
「寝る時間」より「起きる時間」の方が変えやすい
それでは、早寝早起きの習慣がついていない人は、何から手を着ければ生活サイクルを改善できるのだろうか。就寝時間を急に早めてもなかなか眠れないし、長年の習慣は変えにくい。
尾崎氏は「人間は眠くなったら寝ますので、まずは我慢して朝早く起きることから始めたら」とアドバイスする。実際、生活サイクルが崩れているうつ病患者には、治療の一環で「少し無理をしてでも朝早く起きる」ことを勧める方法が採られているそうだ。
「うつ病の職場復帰プログラムでは、以前は負担軽減のために『午後から出勤』としている会社が多くありました。しかし、これでは生活サイクルがなかなか改善できず、勤務時間が延ばせない。そこで今では、最初から『朝イチからお昼まで』として早起きの習慣をつけてもらうよう指導を変える会社が増えています」
眠くても、床からはい出して朝の光を浴びることが、スッキリした頭で仕事に向かう第一歩となる。なお、セロトニンの分泌は、リズムのある運動をしたりブドウ糖を採ったりすることでも増やせるといわれる。朝ごはんをきちんと食べ、会社の最寄り駅の一つ手前で降りて長い距離を歩くも効果がありそうだ。