敬語というと、まっさきにお客様や取引先が頭に浮かびますが、社内でも敬語は必要です。最近はビジネスシーンでの言葉遣いがカジュアルになっていますが、やはり「親しき仲にも礼儀あり」。しっかりとした言葉遣いのできる人は一目置かれます。
すばやくハッキリ切り出し「相手の都合」を聞く
新人のA君は、急ぎの仕事で分からないことに当たってしまいました。自分なりに考えてみたのですが、どうすればよいのか自分だけでは決断できません。
そこで、すぐに先輩に聞きたいと思っていますが、先輩はいつも電話に出ているか、眉間にしわを寄せてパソコンに向かっているかで、声をかけにくい雰囲気です。さて、このようなときには、どのように声をかければよいでしょうか?最も適切なものを選んでください。
A.山田さん、いま、お時間よろしいでしょうか?
B.あのー、ちょっとよろしいでしょうか。教えて欲しいところがあるんですが・・・。
C.いま忙しいですか? ご相談があります。
分かりましたか? 答えはAです。ポイントは、尋ねる必要があるときはグズグズしないで、すばやくハッキリ切り出すことです。声をかけるときは、電話中や打ち合わせ中でないときを見計らい、まず相手の都合を聞くようにします。
ポイント1:脱「若者語」の法則
「あのー」や「すみません」などのあいまいな呼びかけでは、相手が応える気になれません。また、誰に対して話しているのかを明確にするために「○○さん」と呼びかけます。
ポイント2:「クッション語」の法則相手が気が付いたら「いま、お時間よろしいでしょうか?」と、まず相手の都合を聞きます。しかし、Bの「ちょっとよろしいでしょうか」ではフランクすぎます。
Cは「忙しいですか?」と聞いているのにもかかわらず、二言目で「ご相談があります」と用件を切り出しています。これでは一方的なマナーのないコミュニケーションです。相手の都合を聞くコミュニケーションを意識してください。
ポイント3:「お詫び」の法則相手の了解を得たら、「お忙しいところ申し訳ございません。教えていただきたいことがあるのですが」と用件を切り出します。
「相手の都合」を確認する前の「用件」はNG
次のような言い回しは、ありがちですが、ビジネスマナーとしてはNGです。
NG1:「いまいいですか? 聞きたいことがあるんですが・・・」
「いいですか」は、フランクすぎます。「聞きたい」も敬語ではありません。あなたから先輩へ教えをこうわけですから、「うかがいたい」と変換しましょう。
【通常語】聞くNG2:「先輩、ちょっと教えてほしいんですが・・・」
【丁寧語】聞きます
【尊敬語】お尋ねになる/お問い合わせなさる
【謙譲語】伺(うかが)う/お尋ねする
相手の都合を確認する前に用件を述べてしまっています。これは自己中心的なコミュニケーションとなり、相手はあなたの要望に応えてくれません。「ほしいんですが」も若者語。「いただきたいのですが」と変換しましょう。
NG3:「いま質問してもいいですか?」「いいですか?」と尋ねているものの、これではあまりに唐突すぎます。せめて、名前を呼びかけてから尋ねる配慮を忘れないで。
なお、大事なことは、職場の先輩に不明を尋ねるときには、自分だけで解決できないかどうか熟考した上で、教えを乞うことです。また、先輩に気をつかいすぎて、確認すべきことを後回しにし過ぎることも問題です。先輩の様子を見て、早めにタイミングよく聞くようにしましょう。
西出博子