格差是正を掲げる連立政権が、いよいよ派遣労働の規制強化に踏み切るようです。とりあえず「製造業派遣及び登録型派遣の禁止」を軸にすえ、春の国会に改正法案が提出される見込みだとのこと。一部には25万人以上が失業するという「非民主的」でけしからん試算もあります。
大量失業対策に多くの規制強化が必要になる
でもまあ実際に解雇されても困るので、企業に対し「正社員雇用を義務付ける法律」も作る必要があるでしょう。当然、「人件費が払えません」という企業も出てくるので、亀井さんにもう一頑張りしてもらって「正社員雇用モラトリアム法案」でも作ってもらい、人件費の差額は国家が補填する必要もありますね。
あ、もちろん「新卒採用を義務付ける法律」も作らないといけませんよ。ほっとくと90年代みたいに、雇用余剰はすべて新卒採用抑制で解消されちゃって、“鳩山氷河期”が発生してしまいますから。そんなことは友愛的に許されませんもんね。「○○商事は何人、××電機は何人」という具合に、国家が学生を割り振るしかありません。
要するに、ひとつだけの規制だと必ず穴が生じてしまうので、やるならとことん、すべての労働と資源配分を国家が決めるくらいのことはやらないといけないわけです。要するに「計画経済」というわけですね。
憲法改正は「職業選択の自由」の削除から
ここで重要なことを確認しておきましょう。計画経済においては、国家から与えられた労働は人民の義務です。「こんな仕事イヤだ」なんてワガママを一々聞いてたら、全体の計画なんて立てられませんから。
「介護やれ」と言われれば介護に、「北海道行け」と言われれば引っ越さないといけません。ニートなんて労働キャンプ送りでしょう。「自由意思に基づく雇用関係」なんて市場経済だからこそ成り立つわけで、それを否定する以上、我々人民にも譲るべき権利があるのです。
というわけで、とりあえず憲法改正して「職業選択の自由」を削除しないといけませんね。憲法改正というと社民党が反対しそうな気もしますが、あそこは9条バカなのでこういう方向ならOKしてくれるでしょう。
2010年は「真っ赤なバラ色」かもしれない
で、財源はどうするか? もちろん大増税ですよ。法人税から所得税まで大増税で乗り切るしかありません。世界一高い法人税をさらに引き上げると海外流出する企業が増えますから、「海外移転禁止法」も必要ですね。
経営的にやっていけないという無能な会社は国有化して、優秀な官僚OBを社長にすえてやりましょう。トヨタも国有化して、レクサスのラインなんかぶっ潰してトラバント(旧東独製の小型車)とか作らせた方が、意外と新興国向けに売れるかもしれません。
もちろん、個人資産の海外持ち出しも禁止です。いっそのこと、デノミ実施と合わせて一定額以上は没収とかしたほうが後腐れなくてよさそうですね。民主党も新年早々忙しくなりそうです。
いやあ、暗い一年かと思いましたが、なんだかバラ色の未来が見えてきましたね。バラ色っていうか、ほとんど真っ赤って感じですが。
城 繁幸