2009年の新入社員「食べていける収入があれば十分」過去最高に

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   調査によると、今年の新入社員は「給料は意外によかったけど、仕事の内容や上司・先輩の指導育成は期待外れ」と考えている人が、昨年より増えているという。その一方で、厳しい不況の波を感じながら「年功序列を維持してほしい」「食べていける収入があれば十分」と考える人の割合が過去最高となり、新入社員の不安を反映した結果となっている。

給料の額「期待通り」「期待以上」が急増

出典:日本生産性本部
出典:日本生産性本部

   日本生産性本部は2009年12月18日、「新入社員 半年間の意識変化調査」を発表した。09年度入社の新入社員376人を対象に、春と秋に調査を実施している。本調査は1991年より毎年行っており、今年で19回目。

   それによると、新入社員が「入社前に描いていたイメージ」と「配属後の状況」を比べると、いずれの項目でも「期待通り」と答えた人が最も多く、「期待以上」「期待以下」を上回った。

   昨年秋と今年秋の結果を比べると、「期待以下」と答えた人が最も増えた項目は「仕事の内容」で、8.1ポイント増加した。2位は「上司・先輩の指導育成」で、7.4ポイント増となっている。また、「期待以下」と答えた人の割合が最も高かったのは「思い描く人生設計に合っている」で、33.1%の人が「期待以下」と答えている。

   一方、昨年と比べて「期待通り」「期待以上」と答えた人が増えた項目は、「給料の額」と「職場の人間関係の良さ」「残業時間の長さ」の3つ。このうち「給料の額」が「期待通り」「期待以上」と答えた人の割合は、2年前と比べて9.6ポイントも増えている。

   要するに、今の給料に満足している人は増えているが、配属後に将来の人生設計に不安を感じた人は少なくなく、昨年と比べて「仕事の内容」や「上司・先輩の指導育成」に不満を抱く人が増えているということになる。

   ただし、中堅社員からは「いまの若手は仕事に受身すぎる」「他人の面倒まで見ていられない」という声を耳にすることもあり、新入社員の期待と職場の現実がマッチしていない現状が垣間見られる。

「年齢や経験で平均的に昇格希望」過去最高に

   いわゆる「年功序列」を望む声も過去最高に。「各人の業績や能力が大きく影響するシステム」と「業績や能力よりも、年齢・経験を重視して給与が上がるシステム」のどちらを希望するか、という質問には、前者を希望する人が51.9%と多数となったものの、後者を希望する人も48.1%に上り、過去最高となった。02年に「年齢・経験重視」と回答した人は26.1%にとどまっており、この7年間で22.0ポイントも上昇していることになる。

   また、「人より多くの賃金を得なくとも、食べていけるだけの収入があれば十分か」という問いには、「そう思わない」とする人が52.9%で過半数を占めるものの、「そう思う」とする人が47.1%に上り、過去最高となった。春の調査と比べると10.9ポイントも上昇しており、配属後に「食べていければいい」という考えに変わった人が急激に増えたことになる。

   「仕事をする上で一番大切なもの」は、「消費者・顧客」が53.4%と最も高かったが、2位は「上司・同僚」で30.4%となり、4年連続で増加して過去最高となった。社内の人間関係に意識が高まっているということか。

   厳しい雇用状況の中で正社員という、ある意味で「勝ち組」のポジションを手に入れた今年の新入社員だが、今後は従来の安定した仕組みが維持されるとは限らない。だからこそ危機感を抱いて「このままで維持して欲しい」と願っているのかもしれない。

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