産業能率大学が営業マネジャーを対象に「営業に重要な能力」を聞いたところ、「説得・交渉力」がトップとなったそうです。Q&Aサイトの「教えて!goo」にも、上司と取引先との間で悩める若手営業マンからの相談が掲載されています。
「お客さんと上司の間に挟まれています」
上司から「お客側になんとかさせなさい」と指示された
satopowerさんは営業マン。長年取引があるお客さんとの間で、トラブルが発生しました。そこで上司の指示に従い自社の要望を出したところ、お客さんからは「受け入れられない」と回答されました。
質問者さんは、このお客さんとは今後も付き合いを続けたいと考えており、「自社が妥協した方がよいのでは」と上司に提案しましたが、逆に「お客側になんとかさせなさい。それができないのでは交渉力がないと判断する」と言われてしまいました。
上司は長年、設計製造部門の要職にいた人。営業経験がないこともあり、質問者さんはこのような言動に不信感を募らせています。
「これは自分が間違っているのでしょうか?」
この相談には、質問者さんと同じ「お客重視」で対応すべきという回答がありました。
「将来独立または同業他社に転職するならお客様重視で。そうでないなら会社重視でいきましょう。お客重視できない会社なら先が見えてると思いますがね」(shuusan101さん)
一方、お客さんから言われるがままにしていては、会社にとってマイナスだし、その後の取引にもよいことはないという意見もありました。
「お客の協力なしに、物事が進むことはありません。顧客は、パートナーでもあります。・・・顧客から譲歩を引き出すことも、立派な交渉です」(joqrさん)
複数の案から選ばせて「落としどころ」を確保する
ただ、どちらか一方の利益だけ考えればよいのであれば「交渉」は必要ありません。「互いの要求要望を最大限に汲みつつ、互いにとってよりベターな方向へ近づけるのが交渉力」(nimda_1969さん)というのは、その通りです。
それでは、上司に対しては、どういう働きかけをすればよいのでしょうか。上司の指示に反して動くことはありえませんが、事前の説明を上手にすることで指示の中身が変わってくることはあるでしょう。
「上司を説得するテクニックとして、yes/noで回答させるのでなく、複数の案を出し、どの案が良いでしょうか?と選択させるという方法があります」(dai-ymさん)
漫然とお客さんの要望を伝えれば「そんなの飲めるか!」と言われかねません。妥協案を含めて「私は3つの対応が考えられると思います。いかがでしょうか?」と聞けば、「じゃあ、今回はこの辺にしておこうか」と落としどころを納得してもらいやすいということでしょう。これも一種の交渉術です。
また、自分の身を守るために、あらかじめお客さんから言質を取って上司に報告しておくことも必要とアドバイスする人もいました。
「客に言わせるんです。『自社対応しなければ、他をあたるかも』と。付き合いのある客であればそれぐらい言わせられるはずです」(renichiさん)
その上で上司が「うちは対応できない」と言えば、交渉の決裂については担当者が責任を被らずに済むということでしょう。事態が収拾したら、一連のトラブルの原因が営業マン個人によるものなのか、それ以外のものか、きちんと見極めて指導してくれる上司だといいですね。