有能な部下としてバリバリ仕事をしてきた人が、自分が上司になったとたん、周囲に当り散らして疎んじられることは、よく目にします。Q&Aサイトの「教えて!goo」には、イライラが募って自分の感情に追いつめられた女性管理職の相談が掲載されています。
「部下がどうしてもむかつきます。顔を見る度にイライラします」
『働きマン』の主人公と正反対「動作がのろい」「性格が暗い」
質問者のthebusinessさんは、数人の部下を抱える女性中間管理職。3年ほど前に採用した1人の女性部下のことが、大嫌いでたまりません。朝、出勤時に声を聞いた段階でイライラが始まり、視界に彼女の姿が入ってくるだけで思いっきり睨みつけてしまいます。
仕事について注意をしなければならない時は、動悸が早くなり、声が震え、必要以上に叱責してしまいます。その様子を見た同僚から「パワハラ寸前」と指摘されても、どうしても怒りを抑えられません。
彼女を嫌う理由は「ぼけーっとしていて動きや動作がとってものろい」「ネガティブ思考で前向きさがなく、性格が暗い」「仕事に対するクオリティや目指すもののレベルを全く理解してくれない」などとのこと。化粧品会社に勤めているのに「外見にメリハリがない」という点も許せません。
ちなみに、相談者さんが好きなのは、安野モヨコ作のマンガ『働きマン』の主人公・松方弘子。要するに「活発でガッツとやる気にあふれた、ポジティブシンキングな子」ですが、部下の女性は正反対。もう、すっかり思いつめています。
「このままでは、多分彼女を殺してしまうと思います」
経験者は語る「自分が間違っていた、能力不足だった」
この相談には、さっそく「自分のことか」という30代女性から回答がありました。iia_aiiさんは、以前嫌いな部下を持った経験から、「仕事以外の関係はもたない」「上司を味方につける」「相手を勝手にかわいそうな人だと思い込むようにする」「仕事を忘れられる時間を作る」などのノウハウを伝えています。
しかし、もっとも多かったのは、仕事ができない部下はクビにすればよい、という意見。
「クビもしくは配置転換と上司に申告する。彼女の評価表に記載する。感情は絶対に入れないこと。あくまでも彼女の存在が会社または業務に多大な損害を与えている。という様に」(hirodryさん)
一方で、「部下に適切な仕事を与えられない、あなたの管理力不足とは考えられませんか?」と指摘をする人もいました。この人も「どうしようもない、やる気のない部下」を持った経験があるのだそうです。
teradesu5さんは、その部下に対し、感情的な叱責を繰り返していました。周囲から「ヒステリーでストレス発散」と陰口をたたかれ、家に帰って鏡の前で泣く毎日。結局、その会社を退職し、前職に輪をかけて問題児ばかりの職場に行って初めて、かつての部下を冷静に見ることができました。
「部下の立場であれば、『自分のコピーが何人もいれば』という考えも十分アリでしょうが、あなたは管理職なのです。部下の立場だった時とは、こなす仕事が違うはず。・・・今では、自分が間違っていた、自分が能力不足だったと、素直に思います」
経営学者のピーター・ドラッカーも「組織は人間から成るものであるがゆえに、完全を期すことは不可能である。したがって、完全ならざるものを機能させることが必要となる」と言っているそうです。『働きマン』の主人公とは違う「管理職」の役割に気づくと、アプローチを変えられるのではないでしょうか。