ある調査によると、内定学生と若手社会人では、会社に対する思い入れの気持ちに大きな差があることが分かった。内定学生が会社に対して抱くイメージは、根拠のない「思い込み」だったのだろうか。若手社会人は、会社の「現実」を見て、愛社精神を失ってしまったのだろうか。
「若手社会人」の愛社精神が「内定学生」を大きく下回る
毎日コミュニケーションズは、20代社会人向けサイト「COBS ONLINE(コブスオンライン)」と、学生向け社会人準備応援サイト「マイコミフレッシャーズ」を通じて、「若手社会人」(入社2~5年目)と「内定学生」(2010年4月入社予定)の『仕事に関する意識アンケート』を実施し、結果を公表した。回答者は、若手社会人272人と、内定学生300人。
それによると、内定学生へ「入社する会社への愛社精神」を聞いたところ、「非常にある」(28.0%)と「まあまあある」(56.3%)を合わせると、8割以上の人が「愛社精神がある」と答えた。
一方、若手社会人で、愛社精神が「非常にある」と答えた人は、わずか7%。「まあまあある」(45.6%)と合わせても半数強にとどまり、内定学生よりも30ポイント以上も低い結果となった。
ただし「愛社精神」は、それ自体の高低を計ってもあまり意味はなく、例えば「会社の発展に対して貢献の努力を惜しまない」とか「会社が危機に陥っても真っ先に飛び出したりしない」といった行動によって問われるもののように思われる。
「自社商品」など当たり前。倒産しかけた取引先の「商品券」も
そもそも「愛社精神」とは、どのような場面で問われるものだろうか。「教えて!goo」には、
「会社から『愛社精神』を強要されて困っています」
という相談が掲載されている。相談者は「会社の商品を買うこと・サービスを利用することが、愛社精神を示すことになる」と言われているのだそうだ。
その意図は「自社商品(サービス)を使ってみて、その良い所を実感し、お客様に勧めるときに役立てなさい」と説明されたようだが、社員割引もなければ、意見をフィードバックするしくみもない。商品は社内の「購入システム」を利用して買うことになっているため、誰が買ったか買わないかが一目瞭然。そのため、不要の商品を買わされた社員が、押入れの奥にしまっているケースもあるのだという。
他にも、ほぼ同じ内容の相談もあったが、回答には「きびしいことをいうようですが、それはどこの企業でも、日本では『あたりまえ』ではないでしょうか」という声があった。
「私の夫は某金融機関に勤めておりますが、若い時から『これ』の連続でしたよ。新しい商品のために多額な預金を強いられるのはあたりまえで、それどころか取引先の商品の強制購入など日常茶飯事でした。・・・倒産の危機にあるスーパーの担当者などは、ボーナスの半分がそこの商品券購入に当てられ泣いてました」
その会社の社員でいられるのならば、強制購入を受け入れることも当たり前、と思わせるのは何なのか。高い給料なのか、有名企業のブランドか、それとも長年働いてきた愛着なのか。内定学生も若手社会人もまだ知らない「愛社精神」の源泉が、どこかにあるのかもしれない。