「結婚するかもしれない」女性と訪れた「現代アートの販売会場」

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   婚活を装って、詐欺を働いていた34歳の女が捕まりました。

   40代の会社員Aさんは、そのニュースを聞いて他人事ではない気がしたそうです。

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初デートの日、食事の後に「あなたの部屋を見たい」と言われ

「ここしばらく、ケータイサイトでも婚活系って増えてるんですよ。有名な結婚相談所がやっているものから、出会い系が看板をかけかえただけっぽいものまで、いくつもあるんです」

   もともとPCだと場所や時間を縛られてしまうが、ケータイサイトだと思い立った時にアクセスできるため、本気で婚活を考えている人には便利なのだとか。

   そのなかで、相手のメールアドレスをただ紹介するタイプのものは、どこか信用がおけないと考えたAさんが注目したのが、お見合いパーティでした。

「カップリングパーティ(お見合いパーティ)なら、身分証の提示を求められることが多いですし、主催者や参加者とも現実に会うわけですから、騙される確率が低いんじゃないか、と」

   ものは試しと、信用のおけそうなサイトがやっていたパーティに参加。申し込みなどは、メールで簡単にできました。しかも、そこで一人の女性と知り合うことができたのです。

   初デートの日、食事をして飲んでいると、女性が「あなたの部屋を見たい」と言い出しました。あまりの急展開にAさんが驚いていると、「結婚するかもしれない相手のことを知りたいと思うのは、自然でしょ?」と言われ、納得しました。

「殺風景な部屋ね。明日、絵を買いに行きましょう」

   少し期待もあったAさんは、タクシーでデートをした繁華街から自宅マンションへ。部屋に上がるなりトイレに行って出てきた彼女は、「殺風景な部屋ね」。

「それで、明日、絵を買いに行こう、と。2日連続でデートなんだし、詳しくはその時にって言って、バタバタと帰ってしまったんです」

   翌日は土曜日でした。女性が案内したのは、よくある現代アートの販売会場。さんざん「どれにする?」と訊かれ、しぶしぶAさんが「これかなぁ」と指差すや、会場にいたスタッフが書類を持って飛んできました。

「会場内の間仕切りされたテーブル席に案内され、申込書類に慣れた手で書き込みだしたのは、なんと当の女性。あっけにとられていると、『トイレにも小さいの、掛けとこっか。今日は全部で2枚かな』なんて言ってる。
   俗にいうデート商法じゃないのかって詰問しても、『結婚するかもしれない関係でしょ。私の仕事を知っておいてもらいたかったの』と意味不明な言い訳が。1回、飲みに行っただけなのに」

   問答無用とばかりに、Aさんは女性に構わず会場を飛び出したそうです。

「優良なケータイサイトでも、悪い人間がまぎれこむのは阻止できない。ケータイが悪いのではなく、悪事に利用する人間のほうが問題なんですよね」

井上トシユキ


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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。東海テレビ「ぴーかんテレビ」金曜日コメンテーター。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社新書)、「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文藝春秋)など。
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