会社の機密情報は「退職社員による故意の持ち出し」に注意

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   証券会社や保険会社などで、企業情報の流出が相次いで問題になっている。ある調査によると、機密情報を会社に発覚せずに持ち出せるとした人は、回答者の85.7%にも上った。専門家も「社員による故意の情報持ち出し」に注意が必要だと述べている。

持ち出したい情報「自分が作った仕様書、設計書、提案書」

軽い気持ちで持ち出すと大事になる
軽い気持ちで持ち出すと大事になる

   トレンドマイクロは2009年11月10日、「業務情報取り扱いに関するアンケート調査」の結果を公表した。回答者は企業・自治体に勤務している社会人1030名。これによると、社会人の58%が転職や部署異動の際に「業務で扱っていた何らかの情報」を持ち出したいと考えていることが分かった。

   持ち出したい情報は、

・自分で作成した仕様書や設計書、提案書などの文書(電子ファイル含む)
・取引先や顧客の名刺(名刺情報をまとめた電子ファイル含む)
・上司、同僚などの連絡先情報
・自分が送受信した電子メールのバックアップデータ

などが上位となった。

   さらに、個人情報や業務に関わる「持ち出しが禁止されている機密情報」でも、転職時に「次の職場で有用な情報を持ち出したい」と回答した人が21.3%いた。「全て持ち出したい」(8.4%)と合わせると、会社に無断で機密情報を持ち出したいと考えている人は3割にも上った。

   実際に勤め先の機密情報を持ち出せるかと尋ねたところ、「可能」と答えた人は69.2%になった。理由は「機密情報が守られていないから」が11.8%、「守ろうとしているが実効性に欠けているから(やろうとすれば持ち出せてしまう)」が57.4%だった。

持ち出された情報は転職先への「お土産」に

   機密情報を持ち出したとき、「会社はあなたが持ち出したことを特定・把握できると思うか」との問いには、32.1%が「特定できないと思う」と回答。「可能だが、第三者の通報などがなければ調査しないと思う」(53.6%)と合わせると、8割を超える人が「バレずに持ち出せる」と認識していた。

   不正調査・不正対策専門会社ディー・クエストの山本陽介氏によると、機密情報の漏洩・持ち出しは、退職前の「社員」によってなされることが圧倒的に多いという。「内部者による故意の情報持ち出し」であり、調査結果を裏付ける実態だ。

   持ち出された情報は、転売されるのではなく、転職先への「お土産」になったり、独立した際の「見込み顧客名簿」になったりするという。持ち出した人には罪悪感もなく、周囲にも気づかれないことがほとんどだ。

「持ち出した人間がシステムの管理者であったり、セキュリティホールを熟知する技術者だったりすれば、情報漏えいを予防することは事実上困難になる。会社への腹いせに、一定期間が過ぎるとデータがすべて消去してしまうプログラムを残して退職する人もいる」

   ただし、退職時に機密情報を持ち出さないように「誓約書」を書かせ、漏えいが発覚した場合に損害賠償を請求すると伝えたり、退職間際の情報システムへのアクセス状況をモニタリングしていることを伝えたりすることで、不正を抑止する一定の効果は期待できるという。

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