先日、長妻厚労相が政府として初めて、日本の貧困率を公表しました。結果は驚くべきもので、日本の(相対的)貧困率は、アメリカについで世界第2位というものです。
中高年が「もらい過ぎ」だから平均以下の人が多くなる
なんと嘆かわしいことでしょう。かつての一億総中流国家はどこへ行ってしまったのでしょうか。格差も貧困もなく、みなが平等に幸せになれた時代を取り戻すために、我々は連帯して改革を進めなければなりません。
ところで、格差の原因とは何でしょうか? 答えは、厚労省自身が出している統計を見れば一目瞭然です。なんと、大手の50代男性社員は、20代非正規雇用労働者の2.5倍は優に稼いでいるのです! 中間値以下の人間が多いはずですね(「賃金構造基本統計調査」H19より)。
ちなみにイギリスは1.45倍、スウェーデンは1.27倍ですから、いかに日本の中高年が貰いすぎかよくわかります(「国際労働比較」2009)。同じ人間、ただ生まれた年が違うというだけで、これほどの格差を生み出すのだから、年功序列というのは本当に恐ろしいものですね。
ついでにいうと、日本は企業規模による賃金格差も、男女間の賃金格差も先進国中最大の国です。理由は、大手の労使がタッグを組んで、中小の下請け企業や女性に負担を押し付けてきたためです。テレビ局と制作会社の関係などは典型ですね。
要するに、格差の原因というのは、終身雇用と年功序列にあるわけです。まあとりあえず、格差の原因が分かったわけですから、若者自身はもちろん、貧困支援に熱心な左翼の皆さんも、一緒に雇用流動化に向けて努力しないといけませんね。
連合との「馴れ合い」でない「友愛」で格差是正を
ところで、民主党や社民党、国民新党が選挙前、さんざん「小泉改革で格差が拡大した」なんて叫んでましたけど、同じ統計発表[PDF]では逆に格差縮小していることが明らかになっちゃいましたね。
これ、どうするんでしょうか。長妻君はだんまりを決め込んでますけど。
まあいいですよ。とりあえず民主党には、格差是正=労働市場の流動化に全力で取り組んで、小泉政権以上に格差を是正してもらいましょう。
もちろん、いろいろ障害もあるでしょうけど、そういったものを乗り越えて進むことこそ『ゆうあい』でしょう。「連合がダメって言うからムリだよ」というのは、ただの『なれあい』ですよ、鳩山さん。
城 繁幸