日本経団連は2009年9月29日、今年3月新規学卒者の「初任給調査結果」[PDF]を発表した。日本経団連企業会員および東京経営者協会会員企業485社から回答を得た。
大卒事務系「前年比0.09%増」は過去最低の水準
調査結果によると、大卒事務系の初任給は、平均で20万8309円。前年比0.09%増は、2003年を下回る過去最低の水準となった。大卒技術系は20万9752円(同0.55%増)だった。
初任給を前年から据え置いた企業の割合は87.0%で、08年の52.0%を大きく上回った。凍結企業が8割を超えたのは、2005年の86.0%以来4年ぶり。
産業別では、大卒事務系で最も高かったのは「石油・石炭製品」で24万4833円。次いで「新聞・出版・印刷」(23万2535円)、「紙・パルプ」(22万2613円)と続いた。逆に最も低かったのは「金融・保険業」(19万703円)だった。
中小企業は「優秀な人材の確保」を目論み「初任給」を引き上げている
規模別では、大卒事務系では大手企業を抑えて、従業員「100人未満」の企業が21万2544円と、最も高かった。これについて、BRICs経済研究所代表の門倉貴史氏は、次のように分析する。
「大企業は人員過剰感があり、採用を控えている。一方で、中小企業は優秀な人材の確保を目論んで初任給を引き上げているので、“逆転現象”が起こったのではないか。ただ、大企業には定期昇給を残している会社もあり、賞与の額も大きいので、逆転している期間は短い。とはいえ、今後は成果主義が進み、個人間の給与差がつく方向にあるので、“大企業に入れば誰もが安泰”ということにはならないだろう」