ミニブログサービスのツイッター(Twitter)をビジネスに活用する方法が模索されているが、ある会社では社員同士のコミュニケーションに活用して、一定の効果を挙げているという。つぶやいたメッセージは社内外に公開されてしまうが、問題は起こらないのだろうか。
実施1ヶ月で「効果」を確認
ホームページ売上アップ支援サービスを提供するEC studioでは、2009年8月上旬からツイッターを全社導入している。34名のスタッフ全員にツイッターのアカウントを取得させ、お互いにフォローしあって情報を交換しているという。
山本敏行社長のブログによると、ECstudioでは、社内コミュニケーションのルールとして、
・重要かつ緊急な事項は、直接対面して話したり、電話したりして伝える
・社内で共有すべき事項については、インターネット電話・チャットサービスのスカイプ(Skype)のグループチャットで伝える
・議事録や日報など、目を通しておけば良い内容については、メールを使って伝える
という原則を設け、これらに含まれない「その他」の情報を、ツイッターを使って共有することにした。
開始から1ヶ月を経過した9月中旬時点では、非公式の社内イベント情報などを共有する「社内コミュニケーションの向上」や、社員の悩みや相談ごとが聞ける「ガス抜き」「社員の心の声が聞ける」効果、新たなアイデアに広く意見を募る「情報共有」「ブレインストーミング」など効果があったという。懸念される機密情報の漏洩については、
「Twitterは主に自分の心の声をつぶやくツールなので、会社のことをつぶやく発言は極端に少ない上に、上司や同僚にフォローされてるのをわかっていて内部の機密情報を話す人はまずいない」
ということで、「全くの取り越し苦労」だったという。
導入の成否は「ツール以前」という意見も
また、社長自身のメリットとして、
「今までだったら突然のアイデアに驚かれていたのが、社員が事前に知ってくれているので、『あーあの時つぶやいていた件ですね。』と背景まで把握してるので、やりたいことがスムーズに進みます。もしくはスムーズに断られます」
と、自分の考えを正しくリアルタイムで伝えることの効果を挙げている。
この取り組みを取り上げた社長ブログには、09年9月14日現在で600以上のはてなブックマークが付いているが、コメントには
「Twitterをうまく使えれば、会社の風通しはかなり良くなりそうだな」
「良い社員に恵まれているな、が最初の感想。強いぞ、ここ」
と、取り組みを好意的に捉える意見もある一方で、
「効果が"数値"としてまったくあらわれていないという点に留意。それって"効果"と言えるのか?」
「禁止する会社もイヤだけど社長命令でムリヤリやらされる会社はもっとイヤです」
という意見もあった。導入の成否は、ツールをコミュニケーションレベルで使い分けていることと、社員の受け入れ態勢などにかかっていると言えそうだ。
なお、会社社長によるツイッターの利用としては、サイバーエージェントの藤田晋氏や、カヤックの柳澤大輔氏などがアカウントを所有して「つぶやき」を流している。