迷惑なケータイゲーマー 「心のモンスター」も退治してくれ!

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   つい先日のこと。

   満員で混雑するバスの車内最後部に、数人の学生が陣取っていました。取り立てて悪そうでもない、ごく普通の中高生です。

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ゲーム機片手に満員の乗客を無言でかき分ける学生

   彼らはケータイゲーム機に夢中になって遊んでいます。

   始発のターミナルを出発して降りる人がなく、バスはいくつかの停留所をやり過ごしました。その間、5~6分でしょうか。

   商店街を進み、住宅街に入ったところで、初めてバスが停車しました。満員の乗客のうち10人ほどが順に降り、あと1人、2人が降りようとしていた次の瞬間。

   突然、最後部の学生が1人、ケータイゲーム機を片手に立ち上がり、物も言わずに車内中間部にある降車口に向かいはじめました。

   狭い通路に立っている乗客をかき分けるようにして、一目散に降車口へ向かっていますが、「すみません」「通してください」といった一言もありません。

   ピーッと音がして、閉まりかけていたドアを通学鞄で遮り、学生は何とか降車しました。何事もなかったかのように、またケータイゲーム機で遊びながら、ゆっくりとバスの傍らを歩いています。

RPGに夢中で周りの迷惑に気づかないサラリーマン

   その翌日、品川駅で山手線を待っていた時のこと。

   ちょうどお昼時が終わったあたりで、次の目的地へ向かおうとする人々で、駅はとても混んでいました。

   電車が到着し、乗降が始まりました。ほかの乗降口では、すでに乗車が進んでいるのに、筆者が並んでいた列はなかなか進みません。

   イライラして先頭の方を見ると、ケータイゲーム機を両手で操作しながら、亀のような歩みで乗車口を進んでいる人が2人いました。そのうちの1人が、車内に入ったあたりで立ち止まっており、続く人たちが中に進めないのです。

   とうとう、続く人たちが無理矢理に押し込むようにして乗り込み始めました。みんなが睨みつけているのですが、まったく気づくそぶりもありません。

   車内に乗り込んでどんなヤツかと見てみると、1人は20代のスーツ姿、立ち止まっていたもう1人は、なんと40歳がらみのダークスーツ。どうやら、流行りのRPGをプレイしている様子です。

   子は親の背中を見て育つ、と言います。こんな親がいれば、そりゃあ、物も言わず、他人の迷惑も考えず、満員の乗客をかき分けてバスを降りる子どもも出てくるでしょう。

   ある意味、モンスターペアレントを見た思いでした。

   はた迷惑なので、ゲームの中のモンスターだけではなく、自分の心の中のモンスターも退治して欲しいと思います。

井上トシユキ

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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。東海テレビ「ぴーかんテレビ」金曜日コメンテーター。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社新書)、「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文藝春秋)など。
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