民間調査会社による「新型インフルエンザ」に対する企業の対応状況の調査結果が発表された。職場に感染者が出た場合の自宅待機や賃金支払いについて、どうすればよいか迷っている担当者の参考になるだろう。
会社基準で「自宅待機」の場合は「休業手当」が必要?
労務行政研究所は2009年9月9日、「新型インフルエンザ」に対する企業の対応状況について調査結果を発表した。民間企業360社から回答を得た。これによると、従業員本人に感染が確認され「自宅待機」とさせた場合の賃金等の取り扱いについては、「賃金を通常どおり支払う(欠勤しても控除しない)」としている企業が最も多く33.1%だった。
次いで「賃金や休業手当等は支払わない」が22.2%、「賃金は支払わず、休業手当を支払う」が8.6%、「原則として年次有給休暇で対応」が5.0%となった。年休で対応せず、賃金も手当も支払われない場合、1週間休むと月の給与が4分の1程度減ることになる。
なお法律上は、保健所から正式に外出自粛等の要請があった場合には、会社は従業員に賃金や休業手当を支払わなくてもよいとされている。しかし、会社の独自基準で「自宅待機」とさせる場合には、少なくとも「休業手当(平均賃金の6割以上)」の支払いが必要な場合があると考えられる。
同居家族が感染した場合「原則自宅待機」は3社に1社
同居家族に感染が確認された場合、従業員を「自宅待機」とさせるかどうかについては、「保健所から『濃厚接触者』として外出の自粛要請が出された場合は、自宅待機」としている会社が43.1%だった。「保健所からの要請を待たず、原則として自宅待機」としている会社は、全体では33.9%だったが、大手企業では40.7%と高い割合を示した。
自宅待機をさせるか「分からない・未定」という回答は、300人未満の企業では25.2%に上った。中小企業では、本人に症状がない場合には自宅待機などの措置をとらないのが実情ではないか。
また、感染予防のための物品などの備蓄は、4社に3社(75.7%)が「行った」と回答。その内容は「マスクなどの保護具」が99.6%、「消毒用アルコール」が84.8%だった。抗インフルエンザウイルス薬を備蓄している会社は、従業員1000人以上の大手企業では26.7%と高く、社内に医師や医療機関を置いているためと思われる。