集合場所を知らせるメールに「了解」の返事は必要?

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   新入社員のAさんは、この夏、同じようなちょっとしたトラブルに2度遭いました。

「学校と地元の同級生、それぞれに会おうとなっていたんです。メールでやり取りし、参加を伝えたんですけど、最後のメールに返事を出さなかったんですよね」

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待ち合わせの店で「お前、来ないのかと思ってた」

   最後のメールとは、集まる店の情報が書かれたもの。

   Aさんは、一度「行く」と言ったのだから、返事は要らないだろうと思い、返信しなかったのです。

   そして、集まる当日。

「学校と地元とで集まる日も場所も異なっていたんですけど、どっちも店に行ったら、同級生らが口々に『お前、来ないのかと思ってた』と言う。何で?と訊ねると、最後のメールに返事がなかったからだと。
   参加表明を一回したのだから、店の情報は確認すれば良いだけだと思っていたと反論すると、メールが到着して読んだという確認のためにも返信は社会人の常識だと、それぞれに怒られてしまいました」

   本当に社会人の常識なんですか、とAさんは納得のいかない様子です。

   たしかに、一言「了解」などと返信するのが親切ではあるでしょうが、常識だと怒られるほどのことでもないような気もします。

   ただ、「親しき仲にも礼儀あり」ですから、メールに限らず連絡には返事をするという習慣をつけるのは必要かもしれません。

どんな連絡にも返事をしておくのが「社会人の常識」か

   別の新入社員Bさんは、同じパターンのトラブルに別の状況で遭遇したそうです。

「彼女と会う約束をしていたんですが、当日、非常にバタバタしていたんです。それで、待ち合わせの場所を連絡してきたメールに返信するのをうっかり忘れてしまって」

   時間よりも10分ほど遅れて行くと、待ち合わせの喫茶店には彼女と、彼女の同僚がいました。

   時間つぶしをしていたのかと思ってBさんが席に行くとを、彼女は驚いた様子で、「返信がないから来ないのかと思ってた」と素っ頓狂な声をあげたのだとか。

   自分の行動を合理化するのは悪いことではないですが、相手のことにも想像が及ばないと、マナーが守ろうとしていたはずの人間関係が、かえってギクシャクしてしまうでしょう。

   マナーや常識とは、相手を慮る気持ちを定型化したものだと思います。相手のことを思いやることが、結局は自分が不快なめにあわないことに繋がるという、先人たちの知恵なのではないでしょうか。

井上トシユキ

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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。東海テレビ「ぴーかんテレビ」金曜日コメンテーター。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社新書)、「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文藝春秋)など。
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