若手と中堅のエンジニアを対象に、お互いの世代に対して感じている「ギャップ」について調査した結果が発表された。「仕事のやり方」の違いについては、お互いに容認し尊重している部分もあるが、「勤務時間」や「人間関係」に対する溝は深いようだ。
「中堅は働きすぎ?」「若手は姿勢がなってない!」
リクルートが運営するサイト「リクナビNEXT Tech総研」は2009年9月3日、若手と中堅のエンジニアを対象とした意識調査の結果を発表した。回答者は、20代前半(20歳~24歳)の若手エンジニア150人と、30代前半(30歳~34歳)の中堅エンジニア150人の、計300人。
これによると、お互い(若手×中堅)の仕事に対する考え方や人間関係のやり方などについて「違いやギャップを感じたことがあるか」との質問には、半数以上(若手52%・中堅58%)が「感じたことがある」と回答。
若手では「残業・休日出勤など勤務時間に対する考え方」へのギャップが37.2%で1位(中堅では25.3%で3位)、中堅では「エンジニアの仕事に対する基本的な考え方や取り組む姿勢」へのギャップが52.9%で1位(若手では29.5%で3位)となった。
要約すると、若手は中堅に対し「働きすぎじゃない?」、中堅は若手に対し「仕事に対する姿勢がなってない!」と感じているということだろう。
中堅は若手の「効率化の姿勢」を評価している
具体的な意見としては、「仕事の姿勢」について、中堅からは、
「技術屋としての向上心がない。自分に欠けているのは与えてくれないから、というモノの考え方をする」(35歳・システム開発)
「できる限り上司の判断やマニュアルの範囲で行動し、自分自身で考えて行動しない」(32歳・運用保守)
といった受身の姿勢を批判する意見があった。一方、若手からは、
「若い世代は楽なツールを利用し、効率よく仕事をしようと考えるが、上の人たちは使わないといっている」(22歳・システム開発)
「規定にとらわれすぎて、書類ひとつ出すのにも効率がすごく悪い」(24歳・機械設計)
といった効率の悪さを批判する意見があった。
ただし、中堅からは「新しい開発環境を好むのは悪いことではない」(31歳・社内SE)、「効率的にやろうという姿勢はとても評価できる」(33歳・システム開発)と、若手を評価する意見もあった。
若手からも、プログラムより設計に時間をかける中堅社員の「仕事の進め方」(24歳・システム開発)や、エラーやバグの原因推測を可能にする「知識量やキャリア」(23歳・システム開発)に対して一目置いているという意見もあった。世代の特徴はありながら、容認できる部分もあるということだろう。
「残業」や「飲み会」に対するお互いの考えが容認できない
一方で「勤務時間」や、言葉遣いを含む「人間関係」については、お互いに容認できないという強い意見が多かったようだ。中堅からは、
「アルバイトのごとく、残業時間をすべて残業として申請する。プロ意識がないように感じる」(33歳・システム開発)
「スケジュールに遅れが出ていても、他人が帰れば自分も帰る人がいる」(33歳・システム開発)
「社交辞令というものを知らず、飲み会などに誘っても絶対来ない」(32歳・システム開発)
「先輩を尊敬しろとは言わないが、友達のように話しかけるのはやめてほしい」(33歳・サービスエンジニア)
という意見が出る一方で、若手からは、
「はじめから残業を考慮に入れて計画を立てている中堅の考えには納得いかない」(24歳・システム開発)
「仕事に没頭しすぎて、プライベートを楽しもうとしていない」(22歳・システム開発)
「飲み会に参加しろとうるさい。仕事のうちだと言われ、二次会に行かないとグチグチ言われる」(23歳・運用保守)
「球技大会など、退社後や休日も会社に束縛されている感じがしてついていけない」(24歳・回路設計)
などの意見があった。このギャップが「長く勤めると会社の常識に染まる」のだけが理由であれば、10年後も同じような対立が残ることになる。お互いの世代のよい部分を尊重しあいながら、より生産性の高い職場にしていきたいものだ。