産業能率大学は2009年8月25日、「2009年度新入社員に見るゆとり世代の特徴」を発表した。本レポートは09年6月に発表した「2009年度新入社員の会社生活調査」を年代別にクロス集計し、「ゆとり世代」(1987年度生まれ以降=21歳以下)と、22歳以上の層を比べたもの。
「非ゆとり世代」(22歳以上)の75%が転職を「キャリアアップ」と捉える
比較した層は、同じ年に入社してはいるが、「ゆとり世代」は高卒・高専卒・短大卒、「22歳以上」は大卒であるという点が異なっている。年代間で数値に特に差が大きかった項目は、以下の通り。
「出世」という言葉のイメージに近いのは、1位が「責任の増大」、2位が「努力・能力の証」という点は同じ。しかし「努力・能力の証」とした人の割合は、22歳以上では19.6%だったのに対し、ゆとり世代では29.3%と上回っている。
上司の仕事において「部下の報告を受ける」「部下に指示を出す」「部下からの相談にのる」のうち、一番大事だと思うものを聞いたところ、1位はいずれも「部下からの相談にのる」で50%を超えた。ただ、2位となった「部下に指示を出す」と回答した人は、22歳以上は30.2%だが、ゆとり世代では41.4%と上回っており、「上司の指示待ち傾向」がやや強いと言える。
「転職」から受けるイメージは「キャリアアップ」か「挫折」かという問いには、ゆとり世代では両者が拮抗していたが、22歳以上では「キャリアアップ」の割合が75.1%に上っている。同期入社でも、22歳以上では転職に対してポジティブなイメージを持っていることがわかる。
この結果について、大手企業で管理職を務める長野一郎氏は、こうコメントする。
「調査結果では全体的に、21歳以下の『ゆとり世代』の方がより保守的で、同じ会社に長く勤め、管理職よりも専門性を追求したいというキャリア志向が出ている。この傾向は『ゆとり教育』の影響というより、年齢や学歴によるところが大きいと思うが、確実ではない。
2010年から『ゆとり世代』が大学新卒で入社してくるが、企業側は一方的に『使えない』と言っていても始まらず、世代だけで括れない人材を含めて、彼らの特性を踏まえた育成や活用をしていくしかない」