「ケータイ、すごい不気味ですよ」
ある有名人が言います。不気味とは、またどういうことでしょう?
画面を見ながら無言で近づき電子音だけが響く
「普段は滅多にないんですけど、番組などの都合で街なかで顔を出すことがあります。そうすると、四方八方からケータイが迫ってくるんですよ」
ケータイについているカメラは、たいてい機体の背面にあります。折りたたみ式にせよ、スライド式にせよ、被写体にケータイの背面を向けつつ、目線は画面を見ながら撮影することになります。
昔のカメラだったら、ファインダーを覗き込みながら写すから、撮る人の顔もカメラも被写体の方を向いていました。したがって、撮られている方も、ああ、撮られているな、と気づけます。
でも、ケータイの場合、画面を見つつ背面のレンズで撮るもんだから、うつむいたり、斜め上に顔と視線を向けることになります。
被写体にすれば、ケータイは自分に向けられているのに、ケータイを持っている人はあらぬ方向へ注目しているように見えてしまう。
自分が撮られているのかどうか、ちょっとわからなくなってしまうのです。
「こちらを向いていない人たちが大勢いて、ケータイだけがこちらに掲げられているような感じになるんですよね。それが、ジワジワと無言でこちらを包囲してきて、ランダムに『ガシャッ』って電子音があちこちでするわけですよ。これは、怖いですよ(笑)」