政治家秘書は「複数ケータイ」で選挙を回す

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   蝉時雨が激しくなり、夏とともに衆議院選挙を睨んだ活動も本格化してきました。

   某県で立候補予定の新人候補の秘書Aさんも、「これからが大変な時期」と緊張した面持ちです。

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「候補者との連絡用」と「党や支援者との連絡用」で使い分ける

「すでに毎日、街頭での立会演説、支援者や後援者への挨拶回り、商店街などでのアピールを行っており、事務所への来訪者や中央から応援に来る党関係者も多く、スケジュール調整だけでも一苦労ですよ」

   Aさんの大変さを物語るのが、3つのケータイ。ひとつは候補者との連絡用、もうひとつが候補者以外との連絡用、最後はプライベートのものです。

   議員(候補者)秘書というと、常に議員(候補者)に寄り添っていると思いがちですが、実際にはそうでもないことが多いのだそうです。

「国会が解散して以降、選挙に向けた政治活動はいきなりピッチが早くなりました。特に、ウチは新人なので、できるだけ多くの人々とお会いしてお話しさせていただく機会をつくることが秘書としての至上命題。
   ところが、スケジュール的にどうしても本人が行けないとか、遅れてくるということが起こります。差し障りが少ないときには、私が名代として挨拶をしたり、場をつなぐということも結構あるんですよ」

   そこで、候補者とダイレクトに、いつでも連絡を取れるように、専用のケータイが不可欠になります。

「仕事用ケータイ」ではメールは受け付けない

   さらに、政治活動がピッチを上げると同時に、党や支持者、後援者からの連絡が引きもきらなくなります。

「党はともかく、支援者、後援者といえども一枚岩ではありません。なかには、グループどうしでガチで仲が悪いケースもあるんです。どちらのメンツも立てながら候補者の活動予定を組んでいくのは、本当に神経がすり減る作業ですよ(笑)」

   支援者、後援者用のケータイには、一日で50~60件の着信があることも。

「着歴からコールバックするときに、相手を間違えたりしないよう気をつかうだけでも疲れますね(笑)」

   こうした「仕事用」のケータイでは、メールは受けないようにしている、とAさん。メールを送ってこられても、50件以上もの通話をしているうちに後回しになったり、忘れてしまったりして意味がないからだそうです。

「確認が必要な書類は、メールではなくファクスや直接持ってきてもらうようにしています。で、こまめに動かなきゃならないとなると、候補者用、支援者・後援者用と、どうしても複数のケータイが必要になる」

もちろん、2つのケータイは着信音や着信バイブのパターンを変えて、どちらからかかってきたかすぐにわかるようにしてあります。

   プライベートのケータイは、もっぱら家族との連絡用。こちらは、よほどの緊急事態でない限り、メールで受けるようにしています。候補者のブログを代打ちするのも、プライベートのケータイを使うとか。

   政権選択が焦点となる「熱い」選挙戦の裏で、ケータイもホットに活躍しているようですね。

井上トシユキ

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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。東海テレビ「ぴーかんテレビ」金曜日コメンテーター。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社新書)、「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文藝春秋)など。
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