正規雇用が消滅し、すべての人々がフリーランスとなる社会へ

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   ジャーナリストの佐々木俊尚氏は、著書『仕事するのにオフィスはいらない』の中で「ノマドワーキング」を提唱している。

   カフェで美味しい飲み物を飲みながら、無線ブロードバンドでクラウドサービスに接続して仕事をこなし、クライアントのオフィスやホテルへと移動しながら発想転換をする「遊牧民」的な働き方だ。

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「変化」は望まなくても否応なくやってくる

佐々木俊尚著『仕事するのにオフィスはいらない』
佐々木俊尚著『仕事するのにオフィスはいらない』

――ノマドという言葉をご存じでしょうか?…本書で語るノマドは、遊牧民のことではありません。…言ってみれば「オフィスのない会社」「働く場所を自由に選択する会社員」といったワークスタイルを実践している人たちのことです。

   …昨年(2008年)のリーマンショックに端を発し、「100年に一度」と言われている今回の大不況は、私たちの生活に大きな影響を与えつつあります。ほとんどの人はこの大不況にネガティブな印象しか抱いていないでしょう。

   しかし大不況がもたらすであろう影響は、それだけではありません。実はこの不況によって、ホワイトカラーの働き方が大きく変わる可能性を秘めているのです。

   なぜなら、1990年代に始まった終身雇用制の崩壊、そして日本の就業についての構造変化が、ついに総仕上げの時期に来ているということになる可能性があるからです。

   それはどんな社会の幕開けなのでしょうか。

   端的に言えば、こういうことです。

   正規雇用が消滅していき、すべての人々が契約社員やフリーランスとなる社会へ。

   会社に頼っていれば何とかなった時代から、自分自身で人生を切り拓かなければならない時代へ。


   そんな社会を、だれも望んでいないって? そうかもしれません。自分自身の力で生き抜く方法を探していくのは、たいへんですから。しかしこの変化は、否応なくやってきています。

   だったら私たちは、この状況を何とか乗り切るだけの知恵を付けておかなければなりません。

   逆に言えば、この未曾有の大不況をうまく乗りこなして、より素晴らしい人生を生み出すための材料にしてしまおうという前向きな姿勢がいまや求められているのです。

   それこそが、新しいノマドの生き方なのです――

佐々木俊尚著『仕事するのにオフィスはいらない』光文社新書、4~6頁より)


(会社ウォッチ編集部のひとこと)
本書の中心は、ITツールを使った「知的生活の方法」。なので佐々木氏は、大量の仕事を効率的にこなしつつ、毎朝スポーツジムで汗を流し、ワインを飲みながらブランチを楽しんでいる。いくら時間が空いてもジャンクフードに走ってしまう我々には、ただの「労働強化の手引き」になってしまうかも。第5章「クラウドを使いこなす」は、特にアイフォーン(iPhone)の有効活用法をつかみかねている人の参考になる。

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